みなさまこんにちは。

乳幼児が3人もいると毎日騒がしくて楽しくてしかたがないんですが、いつも誰かが風邪引いているような状態で、これもしかたがないと思いつつ、子供の医療費ゼロには本当に助かっています。ビバまるにゅう、ビバまるよう、です。

さて、3月末に就任した新CEOのカルロス・タバレス率いるPSAグループが再建プランを発表しましたが、その骨格となるのが大幅な車種の削減による合理化です。

PSAプジョーシトロエン、再生計画発表…車種を4割削減へ
http://response.jp/article/2014/04/15/221241.html
- Response -

一部のメディアでは「市場には『モデル削減は地域毎のニーズに応えられなくなり逆効果』との声もある」なんて報道もありましたが、私が調べた限りでは、ちょっと違うんじゃないかなと思います。

まずは事実関係を集めてみましょう。
ネタ元は1次情報として一番信頼できるPSAの発表資料「Back in the race.」です。

Carlos Tavares Presents "Back in the Race", PSA Peugeot Citroën&...
http://www.psa-peugeot-citroen.com/en/media/press-releases/carlos-tavares-presents-back-in-the-race-psa-peugeot-citroen-s-strategic-plan-for-2014-2018
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- PSA Peugeot Citroen -

PDFはこちらからダウンロードできます。
http://www.psa-peugeot-citroen.com/en/finance/financial-publications

まず、現状の45モデルが2022年までに26モデルに削減されるということですが、これは乗用車のみで、かつ他社からのOEMは含みません。またブランド別では、プジョーの25モデルが13モデルに、シトロエンは現状の15から7にそれぞれ削減され、シトロエンから独立したブランドとなるDSは現状の5から6に増やされる計画です。
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- PSA Peugeot Citroen -

プラットフォームはEMP1とEMP2の2種類、プログラム(セグメント?)として、B-C、C、C CUV、D、D SUVが用意されるそうです。また、ボディタイプはB-Cセグがハッチ、セダン、CUV、Cセグがハッチ、セダン、CUVとエステート、Dセグがセダンとエステート、SUV、となっています。
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- PSA Peugeot Citroen -

それでは、現行の乗用車45モデルとはいったいなんなのでしょうか。私の推測も入っていますが、インターナショナルサイトのモデル一覧などから察するに、以下のモデル達なんじゃないかと思います。

まずはプジョーは以下の24モデルです。残り1車種はちょっとわかりません。
206+ 3ドア、206+ 5ドア
207 3ドア、207 5ドア、207 sedan、207SW、207CC
208 3ドア、208 5ドア
307、307 sedan
308、308 sedan、308SW、308CC、
508、508SW
301、408
2008、3008、5008、807
RCZ

えっ。206?207?

1世代前の207がフルレンジで残っているばかりでなく、206に207風のフェイスをまとった206+(プラス)も残っているんですね。そして307や807もまだ現役です。これらを除くとどう数えても25モデルには届きませんので、やはり25モデルに含まれているんだろうと。

実際、206+や207の販路は東欧やブラジルなどに限られているとはいえ、2モデル合計で2012年に35万台、2013年に13万が販売されています。

うーん、売れるからといって販売を継続していたのでしょうか。ヒットした旧型車の継続販売は新車投入に比べてコストは安く確実ですが、旧車を売り続けるとブランドイメージも古臭くなってしまうので諸刃の剣です。フォルクスワーゲンも中国で古いサンタナが最量販車種になってしまっていて、イメージの刷新に苦労したそうですからね。

旧世代をバッサリ切り落とせば、残りは15モデル。301と308セダン、408は新興国向けセダンということでキャラが被っているので、これを統合すれば13モデルでいっちょ上がり、です。当然2022年までにはリストにないド新規モデルもあるでしょうが、概ねこんな感じかと。

続いてシトロエンは下記の16モデルです。
C2
C3、C3 Picasso、
C4、C4 Sedan、C4 Picasso、Grand C4 Picasso
C5、C5 Estate、C5 CrossTourer、C5 Liftback
C-Elysee
Xsara Picasso、ZX、C6、C8

シトロエンはここから半減の7モデルだけが残ります。うーん、まずプジョーと同様にC2やC6などの旧型車を削ります。それでも10モデルも残るのか。ここにC4カクタスが加わるので、あと4モデル削らないといけません。販売台数とブランド戦略を考えると、やっぱりC5が廃止になるのではないでしょうか。

というのも、PSAの問題のひとつが、フォルクスワーゲンのシュコダやルノーのダチアに相当するバジェットブランドが存在しないことです。欧州不況の中にあっても、シュコダやダチアは比較的好調ですからね。

これに対するPSAの解答は「シトロエンをバジェットブランド化する」ということです。いや、そこまではっきりとは言っていないですけど、「価格競争力」とか「TCO(総所有費用)の最適化」といった言葉でオブラートに包みながらも、プレミアム路線を目指すプジョーとの違いを明確化することが明言されています。
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- PSA Peugeot Citroen -

そうはいっても、コストの安い第三国でばかり作るわけにもいきませんから、ダチアやシュコダのようになるわけではなく、C4カクタスで示されたように、「おしゃれでちょっと安い」ブランドになっていくのかなと思います。そうなると、DセグのC5は路線から外れちゃうんですよね。

DSシリーズは5モデルを6に増加です。
いまはDS3、DS3 Cabrio、DS4、DS5、DS 5LSで、これにDS 6WRが加わるということでしょう。PSAのDS推しは、しばらく続きますよ。

こうして見てくるとですね、今回のモデル削減は、何のしがらみかダラダラと続けられていた旧モデルのディスコンが中心であって、至極当たり前の、むしろなんでいままでやらなかったのという感じの取り組みなんじゃないかと思います。

最後に、PSAのグローバル戦略において、日本はどのような位置付けになるのでしょうか。

日本は、PSAでは「Asia Pacific」という括りに入り、日本の他に、韓国、インド、パキスタン、オーストラリア、ニュージーランドが含まれます。韓国以外は右ハンドルの国ですね。日本とオーストラリアとインドのマーケティング上の共通項って果たしてあるのか?ということは置いておいて。

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- PSA Peugeot Citroen -

そしてこの地図によると、北海道はユーラシア、九州と四国は、北朝鮮やスリランカと同じ「対象外」となっています。わたし本州人でヨカッタ・・・