みなさまこんにちは。

関東は一週間連続の猛暑日が続いていますが、わたしは先月北海道で一足先に夏バテになっておりますので、うだるような暑さのなかでもなんとか倒れずにすんでおります。「子どもの頃はこんなに暑くなかった」という話はよく耳にしますが、30年後はどうなるんでしょうね。40度超の「烈暑日」なんて呼ばれるようになるのでしょうか。

さて、仏車乗りなら誰もが気になるPSA、プジョー・シトロエングループの2015年上期の決算が発表されました。

- Worldwide sales up 0.4% to 1,547,000 units(世界販売は0.4%増加し154万7千台に)

- Worldwide success for the Peugeot 308, the brand's bestselling model(プジョー308の世界的な成功によりベストセラーに成長)

- Citroën C4 Cactus gets seal of approval with 90,000 units sold since its launch a year ago and 35 awards across the world(シトロエンC4カクタスは昨年の発売以来9万台を出荷。35の賞を受賞し世界的に認められる)

- Premium brand DS continues its development with the launch of the new DS 5(DSは新DS5の発売でプレミアムブランドの発展を継続)
PSA Peugeot Citroën's Worldwide Sales up 0.4% in First-Half 2015
- PSA Peugeot Citroën Group -

グループ全体の上半期の売上高は、289億0400万ユーロ(約3兆9490億円)。前年同期に対して、6.9%のプラスだった。

また、上半期の純利益は、7億2000万ユーロ(約984億円)。前年同期の4200万ユーロの赤字から、4年ぶりの黒字転換を果たした。
PSA プジョーシトロエン の決算、黒字転換…2015年上半期
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売上が伸びた主な要因は、ヨーロッパでの販売増に加えて、プロダクトミックスの改善、有利な為替レートによるものとのことです。

それでは上期の主な数字を見てみましょう。

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- PSA資料をもとに筆者作成 -

PSAの黒字を目にするなんて何年ぶりでしょうか。胸熱すぎて涙が出そうです。流動比率と自己資本比率も改善して、財務の安定性も高まりました。自己資本比率22%というのは決して磐石とは言えませんが、前期の16%という寂しい状況からは大幅に改善しています。これば30から40%程度になればまったく問題がないと言えるようになると思います。

また、販売台数はグループ全体で154万6,560台。2014年1〜6月の154万891台から0.4%の微増となりました。なお、欧州市場の2015年上期の新車販売台数は前期比8.4%増の741万台で2010年以来の高水準だったものの、グローバルではフォルクスワーゲン、トヨタ、GMなどが台数を減らしており、PSAの0.4%増という数字はまずまずと言っていいのではないかと思います。

次に、主なモデルの販売台数を見てみましょう。結論を先に述べると、プジョーは好調、シトロエンは低調、DSは総崩れ、といった結果でした。

まずプジョー。
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- PSA資料をもとに筆者作成 -

2代目308と2008の好調によって、全体では3.9%増の88万6千台となりました。208は前期比1万台減らしていますが、フェイスリフトの端境期にあたることと、需要の一部が2008に移っているものと考えられます。

また、上の表にはありませんが、206や207などの旧モデルは順調に販売台数を減らしており、モデル整理による合理化も着々進んでいるようです。

次にシトロエン。
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- PSA資料をもとに筆者作成 -

何かと話題のC4カクタスやモデルチェンジを果たしたC1は好調だったものの、設計の古い主力のC3とC4が軒並み前期比2割減のブレーキとなり、全体では60万7千台。前期比2.7%の減少となりました。

C4については、好調といわれるピカソを含めてこの結果ですから、モデル末期のC4ハッチは相当厳しいのかと思います。

そしてDS。
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- PSA資料をもとに筆者作成 -

DS3が前期比19%減、DS4が30%減、そしてDS5に至ってはなんと46%減という惨憺たる結果でした。中国専用モデルとして今年発売されたDS6が昨年のゼロから8,049台になったところで焼け石に水。全体では前期の63,800台から53,400台と、16.2%の大幅な減少となりました。

DSはもう少し深掘りしてみましょう。グラフはDS各モデルの発売当初からの販売台数です。
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- PSA資料をもとに筆者作成 -

あー、DSの販売のピークって2012年なんですね。同年の12万9千台から毎年右肩下がりで、今年もこのペースでは昨年の11万8千台を上回るのは難しそうです。

低調の原因は明白で、ひとえに新車不足によるものです。中国向けのDS 5LSとDS 6WRを除けば3車種だけでここまで引っ張ってきているわけですから。DSの次期モデルの発売は2018年とされておりますので、それまでは既存車種の小変更でお茶を濁さざるを得ません。DSブランドにとっては厳しい籠城戦が続きますが、何とか踏ん張っていただきたいものです。

続いて日本市場を見てみましょう。
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プジョーは39台減の2,957台。シトロエンは223台減の1,041台となっていますが、昨年のシトロエンの実績にはDSも含まれていますので、DSと合わせて243台の増となりました。

プジョーは奮いませんねえ。市場全体も1%減らしていますので、市場平均並みではあるのですが、欧州カーオブザイヤーを受賞した新型308の効果がそれほど出ていないようですね。

シトロエンについては、PSAの資料に記述がありました。
Citroën also enjoyed robust growth, particularly in Japan, with deliveries up 67% thanks to the strong performance of the Grand C4 Picasso.(シトロエンは特に日本で力強い成長を遂げた。グランドC4ピカソの人気により登録台数は67%増加した。)
- PSA Group -

シトロエンが前期比67%増ということは、昨年上期の1,264台の内訳はシトロエンがおよそ640台、DSがおよそ625台だったわけですね。DSはそこから466台に減ったということで、前期比25%減ですね。うーむ。

さて、気を取り直して、今後のPSAグループの動きについて決算資料から見ていきましょう。

面白いトピックとしては、2017年にC-Dセグメント車に8速ATの搭載が計画されているとのことです。今時8速AT自体は珍しくもなんともありませんが、ほんの数年前まで主力車種に4速ATを搭載していたフランス車メーカーが2年後には8速ATを載せるなんて感慨深いですね。

サプライヤーはやっぱりアイシンAWなのでしょうか。
http://www.aisin-aw.co.jp/products/drivetrain/at/at02.html


もっともその頃にはフォルクスワーゲンが10速DSGを実用化するものと思われますので、そこまでの優位性は生まれないかもしれませんが。

そして、日本市場には、いよいよアレとアレが来るようですよ。プジョーシトロエンジャポンが今年10月末に開催する東京モーターショーの出展概要を発表しました。

プジョーブランドからはクリーンディーゼル車の日本仕様を、シトロエンからは「ポップでカラフルなあのクルマ」として新型車『C4 カクタス』を日本で初公開する。
【東京モーターショー15】プジョーシトロエンが出展、ディーゼル車や「ポップなあのクルマ」も
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ディーゼルエンジンは、イギリス仕様では2リッター150馬力のBlue HDiに6速EATがありますので、おそらくこれを持ってくるんですかね。

また、「ポップなあのクルマ」=「C4カクタス」は「ポップなブランドとして訴求するシトロエンの、新たなフラッグシップとなる。」ということですが、一体全体どういうことなのでしょうか。

「フラッグシップ」といえば一般的には「ハイエンド」や「最上級」とほぼ同じ意味で使われると思います。「そのブランドのイメージを代表する」という意味で使われることもあるようですが、例えば「フィアットのフラッグシップは500です。」と言われてもピンときません。

最近のシトロエンでは、ちょっとだけ背の高いクーペ風ハッチバックのDS4に「そのSUVは、パリから来た。」というトンデモコピーをつけてしまったという前例もありますので、カクタスを「新たなフラッグシップ」と言われると、どうも焦げ臭さを感じてなりません。「後席の窓がポップアップ式なのにポップなブランドのフラッグシップって意味不明だコノヤロー!」とか突っ込まれないとよいのですが、心配しすぎでしょうか。

とはいえ、久しぶりに黒字転換を果たしたPSAさんですから、マーケティング費用をふんだんに投じてバンバン宣伝を打って、頑張っていただきたいですね。

こちらからは以上です。