みなさまこんにちは。

1ヶ月以上更新が滞ってしまった本ブログですが、私はいたって元気です。

ところで、最近自分は年をとったなあと感じるのです。

それは、世の中の流れに対して感じることです。街灯の広告に踊るタレントは知らない人が増えたし、Youtuberも名前は知っているけれど自分から見ようとは思いません。ピコ太郎も見ましたが「面白い!!」というよりは「へー、こういうのが何千万回も再生されるのね...」という感想です。ハロウィンの仮装をして渋谷の街に繰り出すなんていうことも、まったく理解できません。子供とはやりましたけどね。

仕事以外の時間は3人の子育てに追われる最近は「自分の時間」なんていうものはほとんどないのですが、それを差し置いたとしても、世の中のムーブメントに対する自分の反応が明らかに以前よりも薄くなっていることに対して、歳をとったなあと思うわけです。

確実に歳を重ね、老いてゆくという事実。本当かどうかは知りませんが、一生のうちに心臓が鼓動できる回数は概ね決まっているという説もあるそうです。たった今脈打っている心臓の鼓動の1回も、遅かれ早かれいつか必ず訪れる最後の1回に向かうプロセスの一部であり、物理的な世界に生きている以上、それは避けようのない事実です。

それでも、歳をとることのメリットは多いとも感じています。10年前と比べれば自分ができる仕事の幅や深さは明らかに大きくなり、わずかながら経済的な余裕も生まれ、家族は増え、子供が成長する楽しみがあります。得れば得るほど拡がる可能性という希望と、得たものを一瞬で失ってしまうのではないかという不安に苛まれながらも、早く大過なく歳をとって孫の顔を見たいなあとすら思うわけです。

いや、そうなると「老醜」や「老害」って怖いなあ、という話なんですよ。

老醜とは、辞書によると「老いた醜い姿」であって、本来は老人の肉体的に衰えた姿を指していたようですが、高齢者人口が増えた昨今では「年甲斐もなく頑迷でみっともない言動をして周囲から顰蹙を買う」といったような、精神的に見苦しい振る舞いを指すことが多いようです。

なぜ老醜を晒す老人がいるのか?

もともと若い頃から酷い言動の人物が老人になって抑制が効かなくなったということもあると思いますが、もう一つの要因として、過去の成功体験や常識にすがって現代の常識に抗おうとする姿が周囲には醜く映るということもあるのではないかと思います。

例えば公衆マナー。私の行動範囲では、列に割り込んだり路地でタバコを吸ったりする姿が目につくのは、見た目 50歳代以上の高年者に多いような気がします。こういったことは、数十年前はあまり問題にならなかったような公衆道徳が、現代はまったく受け入れられなくなっているために、目につくということもあるのではないでしょうか。あくまでも私の感覚値なのでバイアスがかかっているかもしれませんが。

過去の常識を捨てられず、新しい常識を受け入れられずに、結果として衝突してしまう。老人側からすれば若い頃と何ら変わらないつもりでも、何かにつけて「今の若い奴らは」という意識が顔を出してしまうと、若者側からは「この老醜、老害が。」と受け止められてしまうのかもしれません。

つまり、世の中は常に変化しているのです。私たちが今当たり前だと思っている常識は、20年後、30年後には常識でない可能性があります。変化についていけず、流れに無理に抗おうとすれば、それが老醜として表出してしまうのかもしれません。

自分の振る舞いが醜いかどうかを判断するのはあくまでも他人(=世間)であり、世間は自分よりも相対的にどんどん若返って自分の想像を超えた常識を身につけた人々に置き換わっていく。徐々にだが確実に。

自分の殻に閉じこもって老醜を晒すことなく、かつ世間と積極的に関与し続けながら自己を表現し続けるにはどうすればよいのか。

これはもう変化を受け入れて新しい常識や潮流に乗るしかないのではないか、と最近は感じています。いやむしろ、新しいものに飛びつく人は単純にミーハーなだけとは言い切れず、あえて努力して飛び込んでいる人も少なくないような気がするのです。

え?話が重い?

プジョーの話じゃなかったのかって?

これがまさに本題の新型プジョー5008の話につながるのです。

つながるんです。

2016年10月のパリ国際モーターショーでプジョーが発表した2代目5008は、先代のオーソドックスなMPV(Multi Purpose Vehicle)からSUV(Sports Utility Vehicle)に転換しました。

こちらですね。
imagePEUGEOT_5008_SUV_Allure_0709STYP_012_2

先だって発表されている新型プジョー3008をご覧になられている方にはもう見慣れたフェイスかと思いますが、新型5008の前半分は内外装ともに新型3008と共通の意匠が与えられ、いわば「3008ロング」という位置づけになりました。ちょうどシトロエンC4ピカソとグランドC4ピカソの関係と同じですね。

ご参考までに、こちらが先代5008後期型です。
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もっとも、先代のように全く別のボディを与える方が異例であり、今回正常化されたという理解でよいのかと思います。先代も運転席周りはほぼ同じつくりで細部が微妙に異なっていたのですが、その程度の差を設けることは、結果としてメリットがなかったということでしょう。

さて、新型3008や5008におけるMPVからSUVへの転換はどう理解したらいいのでしょうか。これはやはり、プジョーのお膝元である欧州乗用車市場が大きな転換期を迎えているということだと思います。

近年は自動車メーカー各社がそれこそ雨後の筍のようにSUVを発売していますが、それはSUVが売れに売れているからに他なりません。売れるから出す、出すから売れる、という状況です。

下の表はヨーロッパにおけるSUVとMPVのセグメント別新車販売実績の推移ですが、2012年以降、MPVの売れ行きが横ばいもしくは減少傾向であるのに対し、SUVは大きく台数を伸ばしています。B~Cセグメントの伸びが著しく、特にBセグメントの「Small SUV / Crossover」にいたっては 、2012年以降の年間平均成長率が60%以上と、とてつもなく売れているのです。

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BセグメントSUVが爆発的に伸びているということは、車を初めて買うような若い消費者にSUVが受けているということです。新車販売のトップがフォード・フィエスタやフォルクスワーゲン・ポロ、ルノー・クリオなどの伝統的なハッチバックであることは変わりませんが、ここ数年で日産キャシュカイやルノー・キャプチャーなどのSUVが販売ランキングの上位に食い込んできていることは、欧州では画期的な状況といえます。

この市場のドラスティックな変化に対するプジョーの戦略は、「この流れに完全に乗っかろうぜ!」というものです。プジョーによれば、2016年は世界で5つものSUVを発表した「SUVイヤー」なのです。もうプジョーはMPVやミニバンを完全に捨てたと言っても過言ではないと思います。

1.2008をフェイスリフト
2.新型3008を発表。
3.中国向け3008をフェイスリフト(=旧3008の併売)
4.中国向け新型4008を発表(=欧州新3008の中国版)
5.新型5008を発表

最近のプジョーの、特にSUVのデザインは以前よりもシャープで力強い印象に変わりました。こうなると、従来のデザインが気に入っていたファンからは反発も考えられるわけです。特にフランス車のデザイン性が大きな付加価値となっている日本のような市場では。

「俺の好きなあの頃のプジョーはどこへ行っちゃったのよ」と。

これはよくわかります。

306や106の頃のようなシンプルだけどスタイリッシュな実用車。それがあの頃私がプジョーを通して感じた「フランス文化」であったはずだ。それがなんか、いかにもゴテゴテした分かりやすいデザインになっちゃったなあと。

しかし、冷静に考えてみると、先代5008も新型5008もパッケージングという意味ではほとんど変わらないんですよね。

プラットフォームはEMP2に変更されて、全長は4,529mmから4,641mmと約1cm拡大されましたが、全高と全幅はほとんど同じです。ボディの延長に合わせてホイールベースは1cm伸ばされました。


室内については、2+3+2というシートレイアウトは変わらず、使い勝手についても写真や動画を見る限りではあまり変わらないようです。


室内長(ペダルから3列目背もたれまで)は5cmほど伸ばされていて、最小時の荷室容量は823Lから952Lへと拡大されています。
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つまり、先代との違いはあくまでも「スタイル」であって、自動車としての基本的な使い勝手は変わらないということになります。もちろん世代が異なりますので、プラットフォームの刷新やステアリングの小径化による操縦感覚、乗り味の変化はあるでしょう。

それでも、デザインさえ受け入れてしまえば、「Cセグメントで7人乗りの、ちょっとハイトなピープルムーバー」という本質は何ら変わらないと思います。そして、運動性能や燃費など、パッケージング以外の機能については大幅に進歩しているはずですし、安全性については新型の方が確実に高いはずです。
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いかがでしょうか。1980年代の初代ルノーエスパスから始まったとされるMPVというスタイルは過去のものになりつつあります。欧州における「ピープルムーバー」は、当面はSUVスタイルか商用車ベースに二極化していくのでしょう。

PSAグループとしては、プジョーは全面的にSUVに舵を切り、MPV市場はシトロエンに託したようです。そのシトロエンもデビューが近いとされる新型C3ピカソではさらにSUVスタイルに近づくとされています。ルノーは新型コレオスやカジャールなどのSUVを立て続けに発売していますが、セニックは従来のMPVに留まりました。

今となってはBMW初のMPVである2シリーズアクティブツアラー/グランツアラー(2AT/GT)の行く末は気にかかります。頭打ちのMPV市場にこのタイミングで参入したのは果たして正しい判断だったのでしょうか。

2AT/GTの最大のライバルであるメルセデスベンツBクラスは、次期モデルでは大幅にコンセプトが変わると言われていますし、BMW自身もコンパクトSUVであるX1の7人乗りバージョンの発売を計画中です。発売当初から保守的とされていた2AT/GTのデザインが急速に色褪せてしまわないか、フランス車のような大胆なフェイスリフトを敢行するのか、気になるところです。

ということで、各社からどんどんSUVが発売されて既存のMPVやハッチバック車もどんどんSUVライクに切り替わっていく時代になると、かつては「制御技術がどんなに向上しようと物理的な重心の高さは否定できない。背の高い車に乗るなんて考えられない!!」と考えていた私ですら、「なーんか、SUVでもいいんじゃないかなあ」と思いつつあるのです。

重心が低く、走りが楽しい方がいいのですが、かといって5人家族ではロードスターに乗れるわけでもないし。

まあ、難しいことは考えずに自分の好きな車に乗ればいいわけですし、決して旧いものを否定しているわけではありません。先代までのプジョーに採用されていた油圧ステアリングのフィールは素晴らしく、現行世代の電動パワステは物足りないし、ちょい古プジョーのゆったりふんわりとした乗り味も現行車では味わえません。

それはそれでいいのです。エアバッグ警告灯が点きっぱなしになろうが、ダッシュボードがベタベタになろうが、こちらから漏れたオイルを塞いだらあちらから漏れてこようが、好きな車に好きなだけ乗ればいいのです。

でも、もし新型プジョー3008や5008を見かけて「俺はこんなカッコは認めないぞ。プン。」という気分になったら、ちょっと視点を変えてみませんか。SUVというビッグウェーブに乗ってみるのも、意外といいかもしれませんよ。