みなさまこんにちは。

いやー、気がついたら2ヶ月振りの更新です。更新頻度が落ちてグーグルのアルゴ変更もあってかアクセスが落ち込んでいますので、バンバン更新していきたいですね()

さて、わがPSAグループがオペルを買収するとのビッグニュースが飛び込んで参りました。GMにとってはシボレーやキャデラックの欧州での販売は年間数千台と微々たるものですので、GMがオペル/ヴォクソールを譲渡するということは、GMは欧州事業から事実上撤退するということを意味します。
ゼネラルモータースとPSAグループは、GMがオペル/ヴォクソール部門とGM欧州の金融部門をそれぞれ13億ユーロと9億ユーロでPSAに譲渡することで合意したと発表した。
General Motors Co. and PSA Group today announced an agreement under which GM’s Opel/Vauxhall subsidiary and GM Financial’s European operations will join the PSA Group in a transaction valuing these activities at €1.3 Bn and €0.9 Bn, respectively.
Opel/Vauxhall to join PSA Group
- PSA Group, Mar. 3, 2017 -


これはまとめるしかありませんね。今回も超絶長いですが、これを読めばPSA/オペル案件はお腹いっぱいというほど盛り込みましたので、どうぞお付き合いください。

さて、当ブログをお読み頂いている方には、「PSA?オペル?ヴォクソール?」という方はいらっしゃらないかとは思いますが、念のため補足しておきます。
logo-psa-gm


PSAはフランスのパリに本社を置く自動車メーカーで「プジョー」「シトロエン」「DS」の3ブランドを保有しています。以前は「プジョー・シトロエン」という会社名でしたが、シトロエンの派生車種であった「DSシリーズ」をプレミアムブランドとして独立させたため、社名を「PSAグループ」に変更しました。

一方のオペルはドイツのラッセルハイムで1863年に創業した自動車メーカーで、現存する世界最古の自動車メーカーの一つとされています。1929年にはGMが経営権を取得し、以降はGMの欧州拠点とされてきました。

オペルは日本にも輸入されていました。1993年からヤナセによる正規輸入が行われ、1996年には38,000台あまりを販売したようです。当時の詳細な数字は把握していませんが、4万台弱といえば、今でいえば輸入車ブランドの3本指に入るような規模です。

しかし、その後の販路戦略の失敗や品質の悪さから販売は低迷。2006年に日本市場から撤退しています。40歳以上のミドルな方々にとって「オペルって、昔はけっこう走ってたよねえ」と感慨深く感じられるのはこのためです。うちの親戚の叔父さんも当時のベクトラに乗っていました。

最後にヴォクソールについて触れておきましょう。ヴォクソールはイギリス発祥の自動車メーカーですが、1900年代初頭からGMの傘下に入っており、1990年代には独自開発の車両もなくなっています。

現在は、オペルの車両をバッヂエンジニアリング(内外装を変更せずエンブレムだけが変更された状態)でイギリスだけで販売しています。なお、日本語では「ボクスホール」や「ボクソール」と表記されることもあります。

宣材写真なんか、全く同じ画像を加工してエンブレムだけ変えてるんですよね。

こちらはオペルのインシグニア。


こちらはヴォクソールのインシグニア。


って、左ハンドルのまんまじゃないですか。以前は画像を反転させて右ハンドル風にしたり、ガスリッドの位置を変えたりと細かい芸を見せていましたが、最近は経費削減ですかね。

ということで、欧州の報道では「Opel/Vauxhall」と併記されることもありますが、企業としての「オペル」という場合には、特に記載のない限り英ヴォクソールも含まれているという理解でよろしいかと思います。

「ビッグ3」の冠を捨てるGM


それでは「PSAがオペルを買収する」とはどういうことなのか。世界の自動車業界にどのようなインパクトを与えるのか。事実関係をおさえていきましょう。

まず、世界の自動車販売の概要です。
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世界販売1,000万台の世界トップクラスが独フォルクスワーゲン、トヨタ、米GMで、これが2016年時点の「ビッグ3」です。

続いて、800〜900万台規模のルノー日産と韓国の現代が4〜5番手クラス。そして500〜600万台規模のフォード、ホンダ、FCA(フィアットクライスラー)が続きます。

PSAはグローバルで300万台ですから、主要メーカーの中ではかなり小規模です。500万台のホンダですら単独では生き残れないのではという声もあるほどです。まあ、この外野が言う「最低何百万台ないと生き残れない論」もあまりあてになりませんが。

PSAがオペルを手に入れると販売台数は3割以上増え、400万台程度になります。それでもまだまだホンダやFCAにも届かない、主要メーカー下位グループのままであることは変わりません。

また、GMが販売台数100万台弱のオペルを手放すということは、VWやトヨタとの世界覇権競争から「降りる」決断をしたということになります。

そして、ルノー日産アライアンスは、品質問題で信用と業績が失墜した三菱自動車を傘下に収めましたので、販売規模は1000万台弱になり、ビッグ3の新たな一角にのし上がります。今はまさに、自動車業界の勢力図が目まぐるしく変化する瞬間なのです。

オペルは赤字を垂れ流し過ぎていた


GMがオペルを譲渡する理由はただ一つ。オペルが利益を出せず、長年赤字に喘ぎ続けているからです。欧州オペルが近年黒字だったのは1999年が最後で、以来20年近くに渡って赤字を垂れ流していました。実は、最近のオペルの収益力は改善傾向にあり、2016年は黒字になる見込みでしたが、今後大きな収益改善が見込めないことから、いよいよ手放すこととなったわけです。
欧州GMは1999年から2016年まで赤字だった。実は2016年はなんとか黒字になる見込みだったのだが、ブレグジットによる英ポンドの下落によってそれも実現できなかった。
GME lost money from 1999 to 2016. The company estimated that it would have crept into the black last year, but the Brexit vote and the fall in the value of the UK Pound clobbered the bottom line.
How PSA could make Opel profitable again
- Autocrar, Feb. 17, 2017 -


もっとも、GMはかねてから市場規模よりも利益を確保すると明言していました。
GMのバーラCEOは、たとえ販売台数と市場シェアを減らすことになったとしても、北米における利益を重視していくと説明した。
General Motors will continue to emphasize profitability of each vehicle sold in the U.S., even if it results in declining sales and a lower market share, CEO Mary Barra said Tuesday morning before meeting with shareholders.
GM CEO Mary Barra picks profits over market share
- USA Today, Jun. 7, 2016 -


GMは欧州という「不採算事業」を切り離すことで、米国と中国に軸足を移すことになるのです。

オペルの瞳にはいつだってフォルクスワーゲンの背中が映っていた。


次に、オペルという会社について深掘りしてみましょう。

オペルの資料によると、2015年の世界販売台数は111万4千台。このうち欧州111万2千台で、欧州圏外への輸出はほぼゼロです。

オペルファクトブック2015

主力車種は小型車が中心で、コルサやアストラが販売の上位を占めます。

こちらがBセグメントのコルサ。


こちらがCセグメントのアストラ。


競合は同じドイツのフォルクスワーゲンになるのですが、常に同胞の後塵を拝してきたというのがその歴史でした。
アストラは、5世代に渡る果敢な挑戦にも関わらず、宿敵ゴルフを一度たりとも上回る販売実績をおさめることはなかった。それはゴルフに対するカデットや、パサートに対するインシグニア/ベクトラ/アスコナについても同じことが言える。
Astra has never outsold its arch nemesis, the Volkswagen Golf, no matter how hard it has tried in 5 different generations. Similar things could be said about the Kadett regarding the Golf, or about the Insignia/Vectra/Ascona concerning the Passat.
If Peugeot Citroen Buys Opel it's all Downhill for Volkswagen
- Autoevolution, Feb. 16, 2017 -


私は近年のオペルに乗った経験はありませんが、現地の評価を見ていると、オペル/ヴォクソールは決して評価が低いわけではなく、アストラは2016年の欧州カーオブザイヤーも受賞しています。

総じて価格や維持費が安価で機能が豊富という評価が多いですが、一方で並み居る競争相手に対して突き抜けた魅力に欠けるともされています。Dセグのインシグニアなどは「コスト重視のカンパニーカーにはベストだ」なんて言われ方もされます。

オペルの国別販売台数は、英国が31万台、ドイツが24万台となっていて、この2ヶ国で全販売のおよそ5割を占めています。なんと、オペルで一番売れているのはイギリスの「ヴォクソール」なんですね。そして、イタリア、スペイン、フランスがいずれも10万台未満となっていて、販売は英独2ヶ国に偏っていることがわかります。

工場は、完成車工場がドイツとイギリスの他にポーランド、スペインに合わせて6あり、その他ドイツやオーストリアなどにエンジンやトランスミッションの工場を持っています。

オペルの一部車種はビュイックやホールデンに提供しているはずで、GMは供給元を失って困るのではと思いきや、オペル車の欧州外への提供は年々減っており、影響はあまりないとのことです。
AutoPacific社のアナリストDave Sullivan氏は、ビュイックの主力市場が中国に移っているため、影響は大きくはないだろうとみている。Sullivan氏「ビュイックの開発を主導しているのはもはや中国であり、米国の製品ライフサイクルという意味では特に問題はないだろう。」
Dave Sullivan, an analyst with AutoPacific Inc., doesn’t believe Buick would be impacted heavily as the brand’s focus has shifted to China.“I don’t think we’re going to feel it here in the U.S. in terms of product life cycles because I think China has taken the lead on Buick development,” Sullivan said.
Once Buick's lifeline, Opel isn't so crucial anymore
- Automotive News Feb. 17, 2017 -


PSAとオペルに補完関係はあるのでしょうか


さて、PSAとオペルという、欧州を基盤とする大衆車メーカーが統合して補完関係があるのか、むしろ顧客を食い合って逆効果ではという声もあるかと思います。

それには、PSAとオペルの欧州での位置づけを把握する必要があります。ヨーロッパ(EU28ヶ国+EFTA3ヶ国)の乗用車新車販売台数は約1,500万台。2016年はフォルクスワーゲングループがおよそ364万台でトップ、だいぶ離されて152万台のルノーグループが2位、PSAグループが147万台で僅差の3位でした。

これにオペルの100万台を足すと、PSAは247万台で、欧州では「断トツの2位」になります。フォルクスワーゲンとの差も100万台に縮まり「ひょっとしたらトップを狙えるかもしれないかもしれない」というレベルです。
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ブランド別では、やはりフォルクスワーゲンが172万台でこちらも断トツ1位、2位以下はルノー、フォード、オペルが100万台前後でしのぎを削り、ちょっと少ないプジョーが後を追うという展開です。
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そして、欧州主要各国でどのブランドが売れているのか見てみましょう。下の表は、ドイツ、イギリス、フランス、イタリア、スペインにおける主要ブランドの販売台数です。この5ヶ国で欧州全市場の73%を占めていますので、各国をいかに攻略するかが欧州でのシェア拡大の鍵となります。
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これを見ると、フォルクスワーゲンは全域で強く、オペルとフォードは独英で強い。ルノーとPSAはフランス。フィアットはイタリア。スペインは混戦模様といった状況です。近年はメーカーごとの「お国柄」が薄れ、機能面でも品質面でも均質化が進んでいると言われる自動車ですが、販売面においては、やはりメーカーの出身国で強いというのが現状です。

PSAとしてはイギリスやドイツでの存在感を高めたいところなのですが、やはり難しいようですね。欧州にも「フランス車は買わない」という層はある程度いるそうで、ドイツ車とフランス車の客層が異なることから、補完関係を築けると考えているようです。
タバレスCEOは「オペルとヴォクソールの両ブランドは、技術基盤の共用によるコスト削減を生み出し、フランス車の購入に消極的な顧客を新たに呼び込むことができる。」と語る。
GM's Opel and Vauxhall brands would bring new customers currently reluctant to buy French cars while generating savings from shared technical underpinnings, Tavares said.
PSA-Opel deal would find 'speedy' savings
- Automotive News Europe, Feb. 23, 2017 -


えっ、「むしろプジョーとシトロエンがカニバってるんじゃないか?」ですって?

静かにしてください。

今後はどうなる?


PSAがオペルを統合した後はどうなるのでしょうか。まず大前提として、オペルとヴォクソールの両ブランドはなくなりません。ドイツ企業としてのオペルも存続し、現在の経営陣も当面続投するようです。これはタバレスCEOが明言しています。
PSAグループにおいても、オペルのノイマンCEOはドイツを基盤とする自動車メーカーのトップとして残留する。タバレス氏は「ノイマン氏はオペルの再生に向けて優れた手腕を発揮しており、PSAとしても留任を望んでいる」と語る。
Karl-Thomas Neumann will remain at the helm of Opel as the German-based automaker is folded into PSA. Neumann has done "excellent work" at Opel and the French automaker wants him to stay in charge, Tavares said on Monday at a press conference announcing an agreement for PSA to buy Opel and Vauxhall.
New Opel Corsa delayed as PSA pushes technical convergence
- Automotive News Europe, Mar. 6, 2017 -


アストラやコルサなどの主力車種も残りそうですが、そのプラットフォームは当然ながら、PSAのものが使われることになるでしょう。

実はPSAとオペルのプラットフォームの共用はすでに始まっています。ジュネーブショーで発表されたオペルのBセグクロスオーバー「クロスランドX」は、PSAのコンパクトカー用プラットフォームを採用し、生産もフランスのソショー工場で行われます。また、今年発表される見込みのCセグクロスオーバーの「グランドランドX」もPSAのEMP2プラットフォームが採用されます。


オペルの「フランス製」クロスランドX。


また、当初2019年に発売が予定されていた次期コルサもPSAのプラットフォームを採用するために、発売を遅らせるとのことで、着々と目に見えない部分の共用化が進められています。仕事速いですね。
次期オペルコルサはPSAのプラットフォームを採用するために発売時期を遅らせる。コルサは設計をやり直すため、発売は2020年になるようだ。また、2023年までに5つのPSAベースのオペル車が発表される見込みだ。
The next Opel Corsa will be delayed as new owner PSA is shifting the German brand’s future models onto its own platforms. the next Opel Corsa will be delayed by a year to 2020, as officials are sending the car back to the drawing board. Five more PSA-based Opel models will follow by 2023.
Opel Delays New Corsa As PSA Shifts New Generation Onto Its Own Platform
- Carscoops MAR. 8, 2017 -


そして本命は年間20万台規模の次期アストラでしょう。現行アストラは2015年にデビューしたばかりなので、おそらく2020年頃にはPSAのEMP2かその改良版プラットフォームを採用した次期アストラが発表されるのかと思います。

プジョーのEMP2採用車種(308や3008など)の販売規模がおよそ50万台、オペルのアストラなどのCセグ車種がおよそ25万台売れていますので、現在の規模でも1.5倍に拡大できるというのは、大きなスケールメリットになりそうです。

やはり課題問題難題が山積だ。


しかし、PSAとオペルの統合には課題もたくさんあります。

欧州内のPSAとオペル/ヴォクソールの工場は合わせて24あるそうですが、常識的に考えれば合理化のためのリストラは避けられないでしょう。タバレスCEOは今のところ「現在の労働関係の合意事項は守る。2020年までは工場閉鎖等のリストラはしない。」と言っていますが、ひるがえれば2020年以降はどうなるか分からないということです。

両グループの欧州の生産拠点はフランス、ドイツ、イギリスの3ヶ国とその他の欧州各国に分布しています。今回の力関係を考えれば「フランス>ドイツ>>>イギリス」となるのは目に見えています。

特に、主にヴォクソール車を生産するイギリスは、もともと人件費も高く、イギリス国内の部品調達率がおよそ25%と低い(平均は40%低度)こと、さらにブレグジットによってEUがイギリス製の自動車に10%の関税を課すかもしれないことなどから、閉鎖は避けられないのではないかと危惧する声もあります。
ヴォクソールのエレスメア工場はポーランドの工場とともにアストラを生産しているが、過去には欧州向けのアストラをポーランドのみで生産することが検討され、エレスメアは閉鎖の危機にあった。
The (Ellesmere) factory shares production of the Astra with a GM factory in Gliwice, Poland, and there have been fears in the past that the Polish factory could become the sole production facilities for European Astra models.
UK plants at risk if GM offloads Vauxhall
- Automotive News Europe, Feb. 15, 2017 -


GM欧州の38,000人の従業員のうち19,000人がドイツ、4,500人がイギリスとコストの高い国に集中しており、6,000人が削減されるのではないかとの分析もあります。

また、もともと欧州依存の高かったPSAがほぼ欧州専売のオペルを買収することになるため、グループの欧州依存度はいっそう高まります。PSAはグローバル315万台の63%にあたる200万台弱を欧州で販売していますが、これに欧州100%で100万台のオペルが足されると、およそ75%を欧州市場に頼ることになります。

欧州依存度を低下させて経営の安定性を確保するために、PSAはプロトンへの買収交渉やイランホドロでの合弁生産の再開などでグローバル拡大を急ぎます。
タバレス氏は進出していない空白地帯に既に布石を打ちつつある。イランでは17年に、モロッコでは19年に生産を始める計画を進める。加えて大きな成長が見込めるアジア市場を重視し、インドでは現地企業と合弁で20年にも生産を始める計画だ。プロトン買収では、PSAに出資する中国の東風汽車と協力して東南アジア市場開拓につなげる構えだ。
仏自動車PSAが買収攻勢 CEO「オペル加え欧州王者」
- 日本経済新聞, 2017/2/23 -

この記事以外にもアルゼンチンでの商用車生産も発表しています。

えっ?オペルの日本への再参入?

いやー、ないでしょう。可能性はゼロとは言い切れませんが、近年のオペルのオーストラリアや中国などへの展開がことごとく失敗していることを考えても、あり得ないでしょう。少なくとも私たちの目の黒いうちは。

GMの今後


最後に、欧州から撤退するGMの将来はどうなるのでしょうか。

GMにとっての2000年代とは縮小の歴史でありました。下の記事では、GMはこの20年でオールズモービル、サターン、ハマーを廃止し、グローバル人材を育てるための拠点として最適な市場規模だったオーストラリアの生産から撤退することが触れられています。
GMが世界の自動車産業の巨人だったのはそれほど昔のことではない。しかし悲しいことに、それはもう過去の話なのだ。
Not long ago General Motors was a juggernaut in the global automobile industry.Sadly, it appears that time has passed.
The incredible shrinking GM
- Automotive News, Mar. 6, 2017 -


さらに韓国では大宇(Daewoo)を廃止し、トヨタとの合弁「NUMMI」はテスラに売却。欧州ではサーブを売却し、フィアットとの資本提携を解消。日本ではいすゞ、スバル(富士重工業)、スズキとの資本提携を相次いで解消しています。

GMにとっての主たる戦場は北米と中国に限定されるわけで、もはや「General Motors」ならぬ「Limited Motors」になってしまうのです。

最近のキャデラックなどは「ニュルブルクリンクを走り込んで開発」というのが売りのひとつでもあったのですが、撤退によって欧州のトレンドを取り入れられなくなることを危惧する声もあります。
アメリカの消費者はヨーロッパ車やヨーロッパのデザイントレンドが好きなのだ。
American consumers like European cars, and many design trends begin in Europe.
For engineering, the good and the bad of GM's move to unload Opel
- Automotive News, Mar. 7, 2017 -


欧州自動車業界の再編が他のメーカーに与える影響はあるのでしょうか?

同じアメリカ発祥のメーカーで欧州に拠点を持つフォードの動向が気になります。欧州フォードの幹部は「GMの欧州撤退による影響はない」と発言しています。
欧州フォード幹部「『ワン・フォード』によるグローバルな製品開発は有効に機能している。昨年ヨーロッパで最も売れたスポーツカーはマスタングで、ドイツではポルシェ911よりも売れた。これはワン・フォード体制無しには実現できなかった。
We're still convinced that our One Ford global engineering‎ structure is working for us. The Mustang last year was the No. 1 selling sports car in Europe -- it outsold the Porsche 911 in Germany. How could t‎hat happen without strong One Ford global engineering?
Why Ford stands by its 'One Ford' philosophy
- Automotive News Europe, March 7, 2017


フィエスタやフォーカスは特にイギリスで人気が高いモデルですが、フォードは大衆ブランドであり、欧州で100万台規模であり、欧州以外との車種の共有が少ないという点はオペルと共通しています。次の再編の震源地は欧州フォードになるのではないかという気がしてなりません。

また、フィアットも欧州で小型車を中心に100万台前後です。フィアット500の歴史的なヒットにも関わらず、やはり規模が小さすぎるため、こちらはトップが提携を求める発言をあけっぴろげにしています。
FCAのマルキオンネ会長は、PSAのオペル統合によって欧州に強力な2番手が誕生することはフォルクスワーゲンにとって大きな影響を与えるため、VWとFCAが向き合うことに繋がるだろうと話した。
Marchionne said on Tuesday that European market leader VW (VOWG_p.DE) would be hardest hit by PSA Group's (PEUP.PA) purchase of Opel, which will create a stronger European No. 2, and the pressure could prompt VW to sit down with FCA.
Fiat Chrysler's merger options dwindle as Volkswagen rejects overtures
- Reuters, Mar. 8, 2017 -


ということで、世界の自動車メーカー各社が生き残りをかけた戦いは面白くなってきましたね。引き続きウォッチしてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。