みなさまこんにちは。

滞り気味のブログの更新がさらに滞ったのはですね、iPhoneのOSをiOS8に更新したら、ライブドアブログの投稿アプリがまったく動かなくなってですね、仕方なくブラウザから書いていたのですが、これがまったく捗らなかったのでして、OSの更新でここまで劇的に動かないアプリも珍しく面食らっているわけであります。私は別にプログラマーでもなんでもないのですが、やっぱりリリース前のテストをちゃんとしてなかったんじゃないかと思っちゃいますよね。あるいは不具合は見つかっていたけど改修が間に合わなかったか。改修を外注してて前日まで「大丈夫です」って報告を受けてたのに、蓋を開けてみると「起動しかしないことが判明した」じゃないかとか、いろいろとよからぬことを勘ぐってしまいます。少なくとも現場はわかってたんじゃないかと思わなくもありませんが、事前に薄々分かっていたのならその旨アナウンスしていただきたかったなというのが正直なところです。ブログを大切な飯のタネにしている方もいますからね。まあ、とりあえずiOS8対応版としてリリースされたライブドアブログアプリにかぎらず、他のiOS8非対応アプリも入力系やタッチ操作はかなり厳しいものも散見されるので、iOS7とは制御ロジックがだいぶ変わっちゃって改修が一筋縄ではいかないんだろうなあという想像はできるのですが。

さて、経営再建中のPSA・プジョーシトロエングループですが、その再建策の最重要課題の一つは、シトロエンDSシリーズの販売を増加させてグループの収益向上に貢献させることです。

そのためにDSブランドをシトロエンから独立させてブランドイメージの向上を図っているのは仏車ウォッチャーの皆様であればすでにご承知のことかと思います。

今年6月には新たに設けられたDSブランドCEOの役職にYves Bonnefont氏が就任し、組織的にも正式にシトロエンから切り離されて、プジョー、シトロエン、DSの三本柱となりました。
"Yves Bonnefont made history this month. On June 1 he became the first CEO of PSA/Peugeot-Citroen's upscale DS brand."
- Automotive News Europe -

そのDSですが、2014年上半期の販売台数が昨年同期比10%近く落ち込み、メディアでは「期待はずれ」と評されてしまいました。
"Vehicle sales at Citroen’s upscale DS line, which became a stand-alone brand on June 1, fell during the first half, hit by an aging product lineup and tougher competition from refreshed rivals such as Mini."
- Automotive News Europe -
"After 5 years of leeway, sales figures show that the DS brand hasn't performed as well as the industry expected."
- Autoevolution -

PSAの発表によると、DSブランド全モデルの2014年1〜6月の販売台数は63,749台で、前年同期間の70,548台から10%減少しました。特に本場の欧州市場での落ち込みが激しく、2013年上期の63,000台強から21%も減り、50,000台でした。今年からDSブランドが本格的に立ち上がった中国は昨年の957台から10,000台と大幅に増加したものの、欧州での減少を補えませんでした。

モデル別の販売台数を見てみましょう。

DS3 14H1:32,687 / 13H1:39,697 / -18%
DS4 14H1:13,416 / 13H1:17,903 / -25%
DS5 14H1:17,686 / 13H1:12,948 / 37%
合計 14H1:63,789 / 13H1:70,548/ -10%

DS5が増加しているのは中国で生産を開始した影響ですね。中国ではDS5とDS 5LSの現地生産がスタートしていて、現在はディーラーも60店舗ほどに拡大しているそうです。

画像は上からDS3、DS4、DS5です。




欧州でのセールスが落ち込んだ原因は主に2つあると言われています。ひとつは2009年のDS3の発表から5年が経過して新鮮味が薄れてきたこと、もう一つはカルロス・タバレスCEOの指示により値引きを縮小していることです。

もっとも、DSシリーズが本質的には大衆車のシトロエン製品であることも問題点の一つとして指摘されており、同一プラットフォームを使いながらも設計や品質の水準をグループ内で差別化することも必要と言われております。

さて、DSシリーズの直接のライバルとなるのはMINIやFIAT500シリーズと言われておりますが、どういう状況だったのでしょうか。

まずはMINI。言わずと知れた現代のFF小型乗用車の先駆けです。BMWの息吹によって2001年に生まれ変わってから基幹のハッチバックモデルは3代目にあたりますが、ワゴンボディの「クラブマン」やSUVの「カントリーマン」などの派生車種を毎年のようにリリースし続けて新しさを演出しております。ボディスタイルは現在(たぶん)6種類を数えるまでに発展しており、そのプラットフォームが親会社BMWのFF車、2シリーズアクティブツアラーと共有されるなど、グループ内での位置付けもますます確固たるものとなってきています。

そのMINIの2014年上半期の販売台数はなんと13万2000台。モデルバリエーションが異なるので単純比較は難しいのですが、DSのざっと2倍です。
"overall MINI sales continue to be down on last year with a total of 131,896 customer deliveries"
- BMW Group -

一方のFIAT。同社の開示資料によると、FIAT500と500Lの2モデルで今年上半期に北米で3万台、欧州では15万台くらい売れたようです(欧州は第1四半期の500のみ非開示なので筆者推計含む)。こちらもDSの2倍以上のパフォーマンスです。ボディバリエーションは4つ(500、500C、500L、500L Living)しかないので、すごい数字です。
Financial Results and Presentations
- FIAT S.p.A -

まあ、MINIも500も往年の、それも超がつく名車のモチーフを受け継いでいることはかなりのアドバンテージです。DSが引き継いでいるのは基本的に名前だけですからね。


さて、DSシリーズが独立したプレミアムブランドとして開花し、競合に比肩しうる存在になるには何が必要なのでしょうか。

兎にも角にもラインアップの拡大によって量的な存在感を示すことですよね。現在までに判明している新規モデルはSUVのDS6WRとセダンぽいDS9ですが、どちらも中国専用車種で、欧州への導入予定はないとされています。

上がDS6WR、下がDS9(Numero 9)です。



新モデルの投入によって中国市場では数字を伸ばすでしょう。ところが、本家の欧州市場では新規モデルの話題が出ておらず、少なくともあと2〜3年はしんどい状況が続くのかと思います。

しかし、本家本元が崩れてしまっては肝心のブランド力を保てません。これは個人的な推測ですが、DS3のフルモデルチェンジまで何もないというのはあまりにもアレですから、6WRの欧州導入か、Bセグ小型SUVのC-XRコンセプトのDS版があるんじゃないかという気がするんですよね。

いよいよ2015年からは既存のDSモデルもシトロエンのバッヂを外すそうですから、本当の試練はそこからかもしれませんね。
DS Vehicles to Drop Citroën Badge in Europe from 2015
- Carscoops -

もっとも、DSブランドが本格的にアウディなどの高級車とライバルになるには、タバレスCEOも「20〜30年かかる」と言うほどの長期的な取り組みですから、向こう5年くらいは踏ん張りどころかもしれません。