みなさまこんにちは。

さて、わたくし遅い夏休みを取って家族で石垣島に行っておりました。

羽田から那覇経由で4時間(帰りは直行便で3時間)、そこは日本とは思えない別世界でした。

石垣島ではダイビングでマンタに遭遇(その間嫁と長女はシーカヤック)。
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古い沖縄の町並みが残る竹富島。
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有人島では日本最南端の波照間島。
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マングローブが生い茂る西表島。
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水牛車で渡る由布島。
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そしてやりたい放題のわが双子・・・
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というわけで南の島を大満喫してきたわけですが、その旅のお供がこちら。
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はい、日産セレナですね。先代モデルかな?石垣島だと新車はなかなか来ないみたいです。旧型だし、船で離島ツアーにも行ってたので3泊4日で100km弱しか乗っていないのですが、せっかくのクルマのブログですから、ショートレビューしてみたいと思います。

その前に石垣島の簡単な自動車事情ですが、沖縄県全体の新車乗用車販売台数が年間4万台、沖縄県の人口が140万人、石垣市と竹富町で約5万人ですから、私の粗い推測ですが、4万台÷140万人×5万人=1,428ということで、新車販売はざっと年間1,500台と思われます。

輸入車マーケットは当然皆無で、石垣島には輸入車の正規ディーラーは存在しません。私が3日間で見かけた輸入車は、2世代くらい前のBMW3シリーズとレンタカー登録のプジョー206ccだけでしたね。

ガソリン代は「島価格」で、レギュラーがリッター180円近くとたいへん高価です。ただ、石垣島最北端の平久保から市街の石垣港まででも約45km、1時間半の距離と小さな島ですから年間走行距離ははそれほど伸びないかと思います。

国道は島の東海岸を南北に貫く国道390号線が1本のみ。制限速度も時速40〜50kmで、60km制限の場所はなかったんじゃないかと思います。交通は非常にゆっくりで、広い直線もほとんどありませんから、時速60km以上出すことはほとんどありません。
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さて、セレナの話題に戻ります。この車両の初年度登録は平成22年。走行距離は5万キロ、タイヤもダンロップのあんまり新しくなさそうなのがついています。

セレナのいいところは何といってもユーティリティー。今回は助手席に長女、2列目右側に長男、3列目に次男と嫁というレイアウトでした。高さが184cmありますので、3列目のチャイルドシートに子供を乗せるときでも、それほどかがまずに乗せられます。

3列目を使っていても、荷室にスーツケース2個とバギー型のベビーカー1台は積めますね。室内も5ナンバーとは思えないくらい広いですね。

エアコンがガンガン効くのも国産車ならでは。プジョーが効かないわけではないですし、308SWは日本のサンデン製のエアコンユニットなんですけどね。やっぱり部品のグレードが違うのかな。

また、3列目に陣取る嫁さんからは「なにこれ広いじゃん、快適じゃん、いいじゃん」との評価を得たセレナであります。

一方、運転手の私にとっては厳しいものがあります。心配していたのはミニバン特有の高い着座姿勢ですが、これはすぐ慣れましたね。乗り降りの違和感もそれほどありません。

セレナで一番気になったのはコーナリングです。ステアリングは適度な重さはあるのですが、操舵フィールは極めて不自然です。切り始めから時計の位置で1時くらいの位置までは、車体はほとんど反応しません。そしてステアリングがある位置を過ぎると、ユラッとロールして曲がり始めます。
よくよく確かめると、切り始めた瞬間から反応してはいるんですが、ほとんどわからないくらい小さな動きなんですよね。そしてある位置からいきなり曲がり始める。

背が高い割にそれほどグラングラン揺れるわけではありませんし、接地感がないわけではないんですが、ハンドルの位置と自分が想像する前輪の向き、そしてボディのヨー方向の動きはまったく一致しません。そのため、時速60kmくらいでコーナーに飛び込むのはかなり緊張します。

そして、ステアリングの座りも悪く、直線だろうがコーナーだろうが、常に微蛇の修正に迫られます。要するに、まっすぐ走らないしぴったり曲がらない。うーん、個体が悪いのかなあ。一応大手レンタカー会社なんですけどね。でもこの乗り味は、単純に足回りを煮詰めていないんじゃないかなと思いますね。いくら184cmの全高があったって、もう少しまともに走らせることはできるだろうと思います。

別にスポーツカーと比較してるわけではありませんよ。純然たるファミリーカーであるわがプジョー308SWとの比較です。

まあ、石垣島ならセレナで十分ですけどね。でもよくこのような車で高速道路の追越し車線を時速100km超の「猛スピード」で走っている方がいらっしゃいますが、僕はこのクルマでは無理ですね。それとも、ハイウェイスターという高速道路専用っぽい名前のグレードならビシッと走るんでしょうか。

ちなみに乗り心地はマイルドです。先代オデッセイみたいに硬くてビシビシ突き上げるタイプよりは好感がもてます。

また、トランスミッションはCVT。アクセルを踏み込むと、先にエンジンの回転数だけが上がって速度が後からついてくる、いわゆる典型的な国産車のCVTです。でも、この車だとあまり気にならないですね。というかこのハンドリングだとトランスミッションの形式なんてどうでもよくなっちゃいます。

ブレーキはまあまあ効きますね。先代オデッセイの効きの悪さには閉口しましたが、セレナはそうでもないです。効きもタッチもまあ普通です。

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ということでですね、まあある程度想像してはいたんですが、やっぱりセレナは「ミニバン」の名に違わない「貨車」なんですね。

「運転手が疲れないとか、運転を楽しもうなんて贅沢だよ。乗客を快適にA地点からB地点まで運べればそれでいいじゃない。モノより想い出だよ。モノより想い出。」

運転しながら遠くからそんな声が聞こえていたような気がします。

「これは貨車なのだ。俺は貨車を運転しているのだ、貨車の運転手がドライビングプレジャーを口にするなんておこがましいにも程があるのだ。」と割り切って運転する必要があります。

そして、これが日本で一番売れているミニバンであることもまた事実です。日本の道路交通は「広く、遅い」のが特徴ですからね。ドライバビリティの優先度を極力下げた車が販売上位につけるのは無理ないかもしれません。

で、何を思ったかというと、つくづく今の日本に住んでてよかったなあと思うわけです。

仮に日本車がめっぽう強かったり政府の保護政策があったり国内市場が小さすぎたりして、輸入車がまったく商売にならなかったとしたら・・・

国産車以外には超割高な並行輸入車しか選択肢がなかったら・・・

多人数乗車のためには国産ミニバン以外に選択肢がなかったら・・・

考えただけでも恐ろしいですね〜。

だからこの日本で、フランス車ばかりでなく、ドイツ車やアメリカ車など、世界各地の自動車が正規輸入されている。しかも、強大な国産メーカーに対抗するために手頃な価格(為替や車種にもよるけどVWポロとかメルセデスBクラスのベースグレードの車両本体価格は本国とほとんど変わらないかそれ以下)で入手することができる。これはやっぱり車好きにとってはありがたいことですよね。

国産車がデザイン性やドライバビリティにおいて輸入車と張れるほどの存在になることは、それはそれで誇らしいことなのですが、かといってそれで輸入車が駆逐されちゃうのも困りますね。

実際にマツダやスバルは「打倒輸入車!」と言わんばかりにデザインや走行性能の向上に血道をあげているのですが、国産ミニバンにおかれましては、くれぐれも「やっぱりクルマは操安性が命だよね。想い出よりモノ!」とか言い出さずに、ガラパゴス的に生き永らえて頂ければいいんじゃないでしょうか。ミニバンの運転で酷使されるお父さんには気の毒っちゃあ気の毒なんですが。

南の島でミニバンに乗って、そんなことを考えましたです、ハイ。