みなさまこんにちは。

きましたね。いよいよきましたね。

花粉症ですか?違いますよ。

BMW初の7人乗りFFミニバン、2シリーズグランツアラーです!

2シリーズグランツアラーは、日本でも昨年末に発売されたBMW初の前輪駆動車である「2シリーズアクティブツアラー」のロングボディ版で、初の3列シート7人乗りのミニバン!です。BMWの7人乗りはSUVのX5がすでに存在するのですが、ミニバンとしては初ということですね。

BMWによると、「プレミアムブランドのコンパクトミニバン」は世界初とのことですが、実際には同サイズのMPVやミニバンと比較検討されるものと思われます。このカテゴリーでは、シトロエンC4ピカソが2014年に欧州で11万7千台売れてトップに君臨しています。そして2番手のルノーセニックが11万台、フォードC-MAXとフォルクスワーゲントゥーランが9万台弱、そしてメルセデスBクラスとオペル/ヴォクソールザフィーラ、プジョー3008が約8万台と続きます。なかなかの激戦区ですが、珍しくフランス車が強いカテゴリーですね。

ちなみに、なぜ5人乗りと7人乗りの2つのボディが必要なのかということですが、欧州ではそれが普通だからですね。C4ピカソ、セニック、C-MAXはいずれもショートとロングのバリエーションを持っています。つまりBMWもガチ本気ということでしょうね。

それでは2シリーズグランツアラーを見てみましょう。


おー、これは・・・

ま、基本的にはアクティブツアラーと同じデザインなので驚きはありません。どこからどう見てもBMWだし、どこからどう見てもミニバンです。一見して「BMWのミニバン」であり「BMWのミニバン」以外には見えない。そういう意味では完成されているのかな。

プロポーションも奇をてらったところはまったくなく、オーソドックスな小型ミニバンのフォルムです。ボディは面の凹凸の処理によってシャープさを演出しているようにも見えます。

5人乗りのアクティブツアラーとのデザインの差異もわずか。写真を見る限りでは、フロントエンドからフロントドアまではおそらく共通かな。写真は上がロングなグランツアラー、下がショートなアクティブツアラーです。



2シリーズグランツアラーの3サイズは全長4,556mm × 全幅1,800mm × 全高 1,608mmということです。グランドC4ピカソは全長4,597mm × 全幅1,826mm × 全高 1,644mmですから、ピカソよりほんの一回り小さいサイズですね。



リアを見てみると、リアゲートの形状が違うのはは当たり前ですが、デザインも少し異なります。



わかりました?ナンバープレートの周辺が「ハの字」と「逆ハの字」ですね。

で、グランツアラーのデザインはどうなんでしょうね。せっかくBMWブランドとしてまったく新しい分野に進出するんだから、C4ピカソのようにとは言わないまでも、もう少しアグレッシブなデザインを採用してもよかったんじゃないかなあとも思います。

グランツアラーの目下の使命はは何といっても「打倒Bクラス!」ですから、ドイツ車の顧客を奪うのにあまりアバンギャルドに過ぎてはいかんということなのかもしれません。

そうはいっても、クラスリーダーのC4ピカソは飛び抜けたデザインですし、同じドイツの次期フォルクスワーゲントゥーランもかなり攻めてるデザインですからねえ。ちょっと埋没しちゃうんじゃないかなあと思います。

続いてインテリアを見てみましょう。

コックピットはやはりBMWですね。筋肉質でスッキリしていていいと思います。


センターコンソール中央にCDスロットが鎮座するのが今更感ですが、エアコンも物理スイッチで、何でもかんでもタッチパネルに押し込んでしまうフランス車より好ましいです。



子育て世代には必須のシートバックテーブル。高さと角度が調節できるそうです。


大型グラスルーフ。剛性確保のためか2分割ですね。


2列目シートは40:20:40。フランスのMPVだとたいてい3席が同サイズの33:33:33になります。中央に大人が座れることを取るか、外側2名をより快適に座らせることを取るか、ここはトレードオフですね。


いちおう、2列目にチャイルドシート2つとジュニアシート1つが載りますよというアピールなのですが、実際は2列目に幼児3人というレイアウトは運転中に収拾がつかなくなること必至なのでちょっと無理があるかな。


3列目シートはオプションです。全長4.5mクラスですから、3列目が「子供用」なのは無理もありません。


2列目シートは「イージーエントリー」となっていてワンタッチで倒せるようです。先代プジョー308SWやトゥーランのように、シートバックを一度前に倒してから座面を引っ張って跳ね上げる方式は使いにくいので、3列目を常用する方は要チェックです。


ちなみに、うちは2列目にチャイルドシートを2台載せていますので、3列目に座るにはリアゲートから乗り込むしかありません。

タブレットを利用して車内で映像や音楽を楽しめるアプリ「myKIDIO」。コンテンツはファミリー向けに厳選されていて、前席のiDriveコントローラーからも操作できるそうです。家族向けの仕掛けが盛りだくさんですね。


さて、BMWとして2台目となる前輪駆動、そして初のミニバン。今まで高い運動性能によりダイナミックでプレミアムなイメージを売りにしてきたBMWのブランドイメージが毀損されるのではという声も耳にします。しかし、それがどうやら杞憂に過ぎなさそうであることは、トップギアがわかりやすく指摘しています。
「But then, Mercedes makes Unimogs and trucks and that doesn't dilute the allure of the S-class.(メルセデスはウニモグやトラックも作っているが、だからといってSクラスの魅力が損なわれることはない)」
Review: BMW 2-Series Active Tourer
- TopGear -

ま、そうですね。

また、BMWのオーナー自身もそれほど駆動方式にはこだわっていないのだとか。
「FRコンパクトの1シリーズユーザーですら、7割前後が『1シリーズがFRであること』を知らないし『意識していない』とか。」
BMW 2シリーズ アクティブツアラー これは迎合!?それとも進化なのか?
- 日経トレンディネット -

ほんとかよと思いますが、BMW自身が調査したということなので、ほんとなんでしょうね。

さて、日本にもほぼ間違いなく導入されるであろうグランツアラー。こ上陸すればモデル数が非常に少ない日本の輸入ミニバン市場の台風の目になることは想像に難くありません。

気になるのはその価格ですが、競合車種の国内販売価格(最廉価グレード)は以下の通りです。
2015-02-27-13-04-22


アクティブツアラーが332万円から、グランドC4ピカソが354万円からですから、グランツアラーのベースモデルはおそらく350万円から375万円の間に収まるんじゃないでしょうか。

しかし、国内では販売面で一番割りを食うのは、やはりゴルフトゥーランでしょうね。価格帯は少し異なりますが、トゥーランが「ドイツ車のコンパクトミニバンで国内唯一」だから選ばれているという側面は否定できないと思います。トゥーランは狭いですし、プラットフォームも古いですし、グランツアラーとガチで比較したら数十万円の価格差は簡単に乗り越えられてしまいそうな気がします。

もっともこれは現行トゥーランとの比較であって、今年のジュネーブショーで発表される次期トゥーランは課題のサイズアップも果たしてかなり魅力的ですけどね。

ということで、おそらくBMW史上最大のユーティリティーを誇ると思われる2シリーズグランツアラー。「家族のため」とはいえそこはBMW。やはり「駆け抜ける喜び」がなければブランドの名が廃るというものです。というよりも、ドライビング体験で突き抜けられないと、正直なところ欧州にせよ日本にせよちょっと厳しいのではという気もします。

私にとってもいま試乗したい車ナンバーワンですので、BMWジャパン様におかれましては、グランツアラーの日本上陸の際にはぜひご連絡を頂戴できれば、喜び勇んで馳せ参じます、はい。