みなさまこんにちは。

私の頭髪は近年減産に次ぐ減産を強いられておりますが、いつになったらV字回復するのでしょうか。

さて、先日開催されたフレンチフレンチ幕張で「イオン幕張の屋上駐車場に現れるや、並み居るレア仏車オーナー達からもどよめきが湧いた」「当日の注目度ナンバーワン」との声が上がったクルマといえば、そう、シトロエンC4カクタスですね。

こちらです。うおー!私も実車は初めてたけど、これは宇宙船だ・・・。
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当ブログでも以前「シトロエンC4カクタスは2CVの夢を見るか?」で触れましたが、コンセプトカーをそのままリリースしたような姿には「独創的」という言葉しか思いつきません。

カクタスは本国では昨年6月に発売されてからほぼ1年が経過しており、プジョーシトロエンジャポンも日本への導入を検討しているとのことですが、2015年6月末現在では未だ正式発表はありません。

某掲示板では「カクタス日本導入はない」と断言する未確認情報も流れるなど情報が錯綜する様子からも、日本でもその動向が注目されていることが見てとれます。

そのカクタス、販売好調のため増産され、海外展開も行われることが明らかになりました。
Citroen will increase annual production of the C4 Cactus and expand sales outside Europe after the unconventionally designed compact model proved more popular than planned.(拙訳: シトロエンはC4カクタスを増産し欧州域外でも販売する予定だ。型にはまらないデザインのコンパクトな同車の販売が予想より好調なためだ。)
Citroen will boost C4 Cactus production, add new markets(シトロエンがC4カクタスを増産し新市場へ)
- Automotive News Europe -


記事によると、現在は欧州のみで販売されているカクタスを増産することで、オーストラリアや南アフリカへの輸出に対応することを計画しており、なんと東南アジアでの販売もあり得るとのことです。

と、東南アジア・・・?

タイやマレーシアやシンガポールにシトロエンのまともな市場があるとは思えないんですけどね・・・。カクタスで新規開拓とか?

しかし、この増産が主に南アフリカやオーストラリアといった右ハンドル市場を対象にしたものだとすると、日本への導入も期待できそうです。

なぜ当初は欧州だけだったのか?確認できるソースはありませんが、やはり輸出となると法規制対応や部品の仕様変更などいろいろとコストがかかりますから、初期の市場の反応を見てから判断するという方針だったのでしょうね。

なお、上記の記事によると、カクタスは発売から1年で78,000台売れていて、当初70,000台としていた計画を上回っているそうです。おめでとうございます。シトロエンではすでに3本指に入る車種に育っているということです。
Through April Citroen sold 28,336 units of the car, according to market researcher JATO Dynamics, making it the brand’s No. 3 seller after the C3 subcompact hatchback and C4 Picasso minivan.(シトロエンは4月までに28,336台のカクタスを販売したが、調査会社のJATO Dynamicsによれば、これは同ブランドではC3、C4ピカソに次ぐ3番目の規模だ。)
Citroen will boost C4 Cactus production, add new markets
- Automotive News Europe -


なお、増産の規模は年間1万台で、これが実現すれば10万台弱の供給能力になります。

しかし、カクタスと競合するルノーキャプチャーは発売から9ヶ月で10万台、オペルのモッカも年間10万台、日産キャシュカイやプジョー2008は2014年の1年間でおよそ20万台売れていますから、このセグメントで78,000台というのはそれほど大きな数字ではありません。

競合車種よりも売れていないのはクルマ自体に問題があるからだと辛口に分析する記事もあります。
The 5-speed gearboxes used by both Citroen and Peugeot have been widely criticized. Also, the C4 Cactus has no wind-down rear windows. After the novelty wears off, some customers might find needed features are missing.(PSAの5速マニュアルギアボックスはよく批判の的になっているし、カクタスのリアウインドウは下がらない。目新しさが薄れれば装備不足を指摘する消費者も出るだろう。)
Citroen C4 Cactus Falling Behind Rivals with 70,000 Sales in First Year(シトロエンC4カクタス、初年度7万台の販売で競合に遅れを取る)
- Autoevolution -


また、内装は想像以上に質感が高いものの、リアシートが分割可倒式でない、制振性や遮音性が低い、タコメーターがないなど、Cセグメント車にしてはかなり思い切ったコストダウンが行われているようです。
室内環境は低予算という言葉は似つかわしくない程に特別な雰囲気を醸し出しており、フランス車らしさを誰もが感じられる素晴らしいデザインが施されている。

パドルシフトも備わっており、もちろん自分の好きなタイミングで変速することもできるのだが、もう一度書くがレヴ・カウンターが無いために、注意深く耳で回転数を推し量りながら変速する以外に方法はない。
海外初試乗 シトロエンC4カクタス e-HDI92 エアドリーム
- autocar -


装備の簡略化の恩恵として重量減による燃費性能の向上があり、実際カクタスはC4ハッチよりも200kg、同一プラットフォームのC3やプジョー208より100kg近く軽量化されています。まあでもこれはあくまでも副次的な効果であって、やはりコストダウンが主目的なんでしょうね。

C4カクタスは、近年急成長を遂げているがPSAが持たない廉価ブランド、すなわちルノーにおけるダチアやフォルクスワーゲンにおけるシュコダなどに対抗するために開発されたモデルだと私は理解しています。

より価格を抑えるために、CセグメントのC4名義であるにも関わらず、低コストなPF1プラットフォームを採用し、安っぽくならない程度にギリギリまで装備を省く必要があったのだと思います。

カクタスが「近年のシトロエンではもっとも評価の高いモデルのひとつ」である事は間違いありませんが、大ヒットかといわれるとそうでもない、というのが現状のようです。それでも計画を上回るほどの一定の人気があることは事実ですので、増産によってどこまで販売が伸びるのかが見所ですね。



さて、現在のC4カクタスのラインアップを見てみましょう。

右ハンドルのUK仕様で選択可能なパワートレインは下記の5通りです。

・1.2L NA PureTech 75 5MT(Euro5)
・1.2L NA PureTech 82 5MT(Euro5) / 5ETG(Euro6)
・1.2L 直噴ターボ PureTech 110 6MT(Euro6)
・1.6L ターボディーゼル BlueHDi 100 6MT(Euro6)

うーん、すぐに日本に持ってこられそうなのは、プジョー208やシトロエンC3でもおなじみの82馬力5ETGくらいですかね。このパワートレインはカクタスには似合っているかもしれませんが、日本に持ってくるならやっぱりトルコンATが欲しいですね。

先にフェイスリフトを果たしたプジョー208の1.2PureTech110にはアイシン製6速ATが載り、日本にも2015年末には導入予定です。カクタスのPF1プラットフォームは208とも共用ですので、EAT6も載せられないことはないと思いますが、どうなんでしょうね。

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また、「パノラミックグラスルーフにサンシェードがつかない」という、日本の夏のことを考えると致命的ともいえる装備不足が指摘されてもいますが、ほんとうなんでしょうか。

いろいろ調べてみましたが、やはり格納式のルーフシェードはついていないですね。下の動画の3分30秒あたりで、はっきりと「サンシェード装備されていないことに気がつくかもしれません(You might notice. Look. It has no sun blind...)」と説明されています。



うーん、ルーフシェイドも省いちゃったのか。いくら日本ほど暑くないヨーロッパといえども、ルーフシェイドが欲しい人もいるんじゃないですかね。

そこでUKのカクタスのカタログを調べてみました。3つあるグレードのうち、中級のFeelと上級のFlairに標準装備される「Thermally Insulated panoramic sunroof(断熱パノラミックサンルーフ)」の注意書きとして「Sunblind available as an accessory(ブラインドはアクセサリーとして提供)」とあります。

なんと別売のルーフシェードがあると。

あー、ありましたね。
http://www.citroen.co.uk/new-cars-and-vans/citroen-range/citroen-c4-cactus/accessories

「Set of 2 Sun blinds」。69ポンド(約13,500円)だから、まあ相応な値段でしょうか。

製品の画像がないのでよくわかりませんが、2枚組ということは、前と後で分割されてるんですかね?そして、どうやってグラスルーフに固定するんでしょうか。吸盤でルーフに貼り付ける?それともフックでひっかけるのかな?いかに最新の断熱ガラスとはいえ、やはり日本の夏ではシェードなしはキツイでしょうね。PCJはどうするのでしょうか。もちろん後付けしかないのでしょうが、しれっとオプションにするんですかね。

まあでも、サンシェードがなかろうとタコメーターがなかろうとリアウインドウがポップアップ式だろうと、細かいことは言わずに発売しちゃえばいいんじゃないでしょうか。

なんといっても存在感は輸入車の中でも群を抜いているので、欲しい人は細かいことは気にせずに買っちゃうと思うんですよね。

ピュアテック1.2リッター110馬力にEAT6を載せて250万円くらいで売り出せれば、結構いけるんじゃないかと思いますが、いまの為替水準だと厳しいですかね。82馬力5ETGの中間グレードがフランス本国で2万ユーロ(270万円くらい)ですもんねえ。5MTが238万円、6AT250万円くらいだと面白そうですね。

とにかくですね、流行りのSUVをラインナップに持たないために、どう贔屓目に見てもCUVにさえも見えないDS4に「そのSUVは、パリから来た。」という無茶苦茶な幟旗を突き立てて戦わなければならなほどの弾不足に悩むPCJさんにおかれましては、良心の呵責に苛まれることなく正々堂々と「うちにもSUVありますよ。」と謳えるカクタスの日本発売を1日も早く実現して頂きたいなあと、切に願うばかりです。