みなさまこんにちは。

さて、昨年に引き続き、オーストラリアから友人家族がやって来ました。その模様は昨年も書きましたが、今年は少し様子が違います。なんと、パパ、ママ、2人の子供とおばあちゃんの5人でやって来たのです。

さて、今回の目的地は伊豆高原。うちの5人と向こうの5人では、前回のアルファードは使えません。そこで借りてきた今回の旅のお供はこちら!

ハイエースグランドキャビンです!!
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で、でかい・・・

10人乗りのワゴンは、昨年夏に北海道で日産のキャラバンコーチを運転して経験済みです。その時に見かけたトヨタのワゴンが、なんかキャラバンコーチよりも立派な感じで、次に借りるならトヨタがいいなあと思っていたんですよね。

しかし、だだっ広い北海道とは違って今回はこれで狭い都内を走らなければなりません。特に自宅前の狭い路地を通れるのか。行き当たりばったりでは立往生する可能性すらあります。

そして旅行2日前の深夜12時・・・

「あー、今日はいろいろあって疲れたな・・・やっと寝られるわ。布団暖か。

そういやあさって出発だな。うちの308SWが全長4.5mで、グランドキャビンが5mくらいだよな。50cmの差ってでかいよな・・・

しかし、うちの前の道路にちゃんと入れるかな。」

今回の旅では出発日にオージー一家が我が家に泊まっているため、ワゴン車をうちの前に寄せる必要があります。しかも、チャイルドシートを5台も載せなければなりません。

しかし、自宅前の道路は狭い一方通行がスクールゾーンのガードレールでさらに狭くなっていて、わが308SWでも気を使うほどです。

「まあ、2トントラックも入って来れる道路だし、大丈夫だろ。でも念のためグランドキャビンのサイズを確認しとくか。なになに・・・

あれっ、グランドキャビン、全長5,380mm、だと・・・・・・

ご、ごーてんよんめーとる・・・

そんなに長いの?!

去年乗ったキャラバンコーチは確か5mちょうどだよね?検索検索・・・・・・

◼︎日産・キャラバンコーチ
・全長:4,995mm
・全幅:1,695mm
・全高:2,285mm
・WB:2,715mm

◼︎トヨタ・ハイエースグランドキャビン
・全長:5,380mm
・全幅:1,880mm
・全高:2,285mm
・WB:3,110mm

なにーっ、グランドキャビンはキャラバンコーチより一回り大きいのか・・・

えっ、5.4m×1.9mって、フォードレンジャーとかより大きいんじゃない?いすずエルフの2tショートも5mしかないじゃん!」

グランドキャビンは日本国内で普通免許で運転できる乗用車としては最大級のサイズであり、おなじみのハイエースバンとはまったくの別物と知った私は、寝床の暗闇でスマホをいじりながら唖然としました。

「これは、シミュレーションの練り直しだ・・・

普段は左折するあの信号は308SWでもスレスレだから、グランドキャビンでは絶対無理だ。右側から直進でアプローチしよう。

信号を渡って坂を下ってうちに左折する角は電柱がジャマで長い車はバックでしか入れない。

電柱を避けて角を通り越してから左いっぱいに寄せて、頭を右に振る。いや、右側はガードレールがあるからバックしたら当たっちゃうんじゃないの?

でも頭振らないと入れないでしょ?

いやー、絶対に無理な気がする・・・・・・

うちに寄せられないとなると、どこか近くの広い道路に停めるか。そうするとチャイルドシート5台積まなきゃいけないし・・・あさって雨だし・・・

グランドキャビンのホイールベースはアルファードより11cm長いだけか。いやでも前後オーバーハングの長さは侮れんぞ・・・

ああああ、眠れない・・・

と、気がついたら3時になっていました。

私は眠る方法は心得ているんですよ。寝つきを良くするために守るべきことは「寝床で考え事をしてはいけない」です。

夜中に考え事をすると、考えている内容がどんどんどんどんネガティブになっていきます。夜は脳の活性が落ちて不安感を増大させるホルモンが出るとか、そういうことらしいですよ。

これを防ぐには、「とにかく考え事をしない」ということに尽きるのですが、これが難しい。「考えまい」としても気がつくとアレコレとよくない妄想が始まっているのです。夜中の考え事はほんと、よくないです。

まあ悩んだのが前々日でよかったのですが。

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巨体にガクブル。


そして当日。私達は大事な旅行の日には必ず晴れる晴一家ですが、この日は雨。しかもかなりの大雨。

バス停を降りてレンタカー店に向かうと、もう見えています。全高2.2mのグランドキャビンが牙をむいて待ち構えています。その巨体は1km先からでもはっきりと見えるほど。やはりでかい。緊張が強いられます。

店員さん「この車は左の巻き込み事故が非常に多いので気をつけてくださいね。」

私「はい。(わかってるさ。おととい眠れないほど悩んだんだからな・・・)」

手続きを終えて運転席へ。ドアを開け、頭上のアシストグリップをつかんで男らしく乗り込みます。

そして始動。最初の左折でいきなりこすらないように慎重にハンドルを切ります。一方通行を右へ。デカい・・・デカすぎるぞ・・・ハンドルを10回転くらい回さないと向きが変わらん・・・そして大雨・・・最悪のコンディションだ。

国道をゆっくり走って5分ほどで難関の我が家前に到着。狭い一方通行の下り坂からバックで自宅前の路地に入り込みます。

おっ、思ったより道幅が広いぞ。なんで寝てる時のシミュレーションではあんなに狭く感じたんだ・・・

これはいける・・・!!

入れた・・・

無事に自宅に到着しました。いやー、けっこうすんなり入るもんだな。
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あれ?大きな車も悪くない・・・?


自宅までたどり着いてチャイルドシートを5つ乗せたらもう一仕事終えた感がありますが、これから伊豆高原へ向かいます。10人乗せていよいよ出発!!
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グランドキャビンの2.7リッターガソリンエンジンの加速は鈍重でエンジン音はそれなりに大きく、ハンドルは水平に寝ていて前輪がどこを向いているのかわかりません。

三軒茶屋から首都高、東名高速へ。わかってはいたけど、グランドキャビンのドライビングにはプレジャーもへったくれもありません。雨の降りしきる中、目を閉じてしまわないように注意しながら、ひたすら前に進み続けるという時間が過ぎていきます。

厚木ジャンクションから小田原厚木道路へ。ここは自動車専用道路ですが、道幅が異様に狭く、それなりにカーブやアップダウンもあります。なんとなく、イギリス郊外のBロードを彷彿とさせます。

狭くハイペースなオダアツ。都内でルート選択を誤って時間も押しています。巨体に気を使いながらもアクセルを踏み込み追い越し車線へ。アップダウンを含む緩やかなコーナーが続きます。

ん・・・?

これは・・・・・・

感じる。感じるぞ。前輪のフィードバック。

ふいに、大きく寝かされたステアリングホイールの真下に置かれた前輪の動きが感じ取れるようになってきました。

なんだ、これは全然悪くないぞ。いや、むしろリニアなハンドリングだ。コーナーでちょっと気を抜くとアンダーが出て外側に振られるけど修正は難しくない。サスペンションの腰砕け感もなく、少なくとも運転席にいる限りはボディの挙動は安定している。横風にさえ舵を取られなければ、けっこう「意のまま」だ。

橋脚の目地段差を乗り越えた時でさえも、はるか後方にある後輪の存在を認識することはできないが、2つの前輪は確かにある。運転席の下に。コーナリングには一貫性があるので不安感はない。

ああ、これが「車が自分のものになる」感覚。痺れて感覚のなかった両手の指先の毛細血管にジワジワと血が巡って自分自身の手になる感触。

なんだ、これはこれで楽しいじゃない。

私が運転しているのは1時間前と変わらず、全長5.4m×全幅1.9m×全高2.2mのバスだ。しかし、最初に乗り出した時よりも一回りもふた回りも小さく感じる。

いやー、これは自分でもビックリしました。とても運転を楽しめるはずなどないと思っていたグランドキャビンが、好ましい。

もちろんコーナーの手前でしっかりと減速しないとすぐに顎が出るし、箱根スカイラインの上り坂では行列の先頭にならざるを得ません。上り坂でキックダウンしても増大するのはけたたましいエンジン音だけです。

それでも、うまくコントロールすれば、それなりに速いペースで走ることができます。 そして大人5人、子供5人乗車でもブレーキはよく効きます。

「巨大なハイエースグランドキャビンなぞは貨車であり、運転を楽しめるような車では到底ない」そのような過剰な自意識が、車を理解して身に付けることを拒んでいたのでしょう。

「受け容れよ、さらば与えられん」

と、昔の偉い人が言ったかどうだかわかりませんが、ともかくグランドキャビンという車を自分なりに体得したことによって、運転体験が好ましいものに変わりました。

まあ、要するに「慣れた」ということなんですけどね。

グランドキャビンで伊豆巡り。伊豆半島なんてそれこそ数えきれないくらいきているのですが、今回は初体験が多かったですね。

生命の星・地球博物館。
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2日目は晴れました。宿泊した伊豆高原のペンションの前庭ミニ鉄道。
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大室山の山頂から。
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伊豆の国パノラマパークの山頂から。
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ワイワイガヤガヤ。
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いやー、大人数の旅もいいものですね。

なお、伊豆の国パノラマパークからの帰りは東名高速の大渋滞に巻き込まれ、15時に出発したのに東京帰着がなんと22時。途中数回の休憩を挟んだとはいえ、実に7時間もかかりました。

しかし、あれだけ不安だったグランドキャビンも手なずけてしまえばまったく怖くありません。深夜の環八も我が愛車プジョー308SWと同じようなペースで飛ばせます。

乗用車最大級のハイエースグランドキャビンをなんとか乗りこなしたということで、今後の人生で運転する車のほとんどは、これよりも小さいということになります。

なーんだ、大きい車でも全然問題ないじゃん。サイズ的にはメルセデスベンツVクラスでも全然余裕。VWシャランなんて小型車だ。プジョートラベラーとかルノートラフィックなんかもいいかもしれません。ま、どれもうちの駐車場には入りませんが。

そして最後にシート。今回は往復で330km、2日目は8時間以上運転しましたが、腰や尻の痛みはゼロ。平板でホールド性は低いものの、クッションがしっかりした良質なシートでした。昨年ひどい尻痛に悩まされたアルファードとは大違い。よくできています。

小さい車が運転が楽しいことは間違いないのですが、大きい車もいいですね。トヨタのこういう車ってしっかり作ってあるんだなあと感心しました。

大人数で楽しめたし、自分にとっても収穫の多い旅行でしたね。

ナビよ。お前は何をしているんだ?


最後に補足です。グランドキャビンにはケンウッド製のナビがついていたのですが、これが大マイナス点。

カーナビなんて基本機能はどのメーカーも大差ないと思っていたのですが、そうでもないんですね。

交差点に近づくと地図が拡大表示される機能は多くのナビについていると思います。入り組んだ複合交差点や路地裏などで便利ですよね。下の画面はパナソニックの例です。
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それが、グランドキャビンについていたケンウッドのナビは、交差点に近づくと地図が半分消えて、何やら丸いメーターのような図が表示され、曲がる場所までの距離とおおよその方向を指し示してくるのです。

こんな感じに。
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いやいやいやいや!!

なんでそこで抽象化しちゃうんだよ!!これじゃ曲がれねえよ!!

お前はWRCか!!

もういいよ!

どうも、ありがとうございましたー。