みなさまこんにちは。

1ヶ月に2本以上のエントリーを載せることができるのはおよそ半年ぶりです。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

さて、我が愛車プジョー308SWは5年目の車検を迎えまして、最寄りのディーラーに預けてきました。その件はまた別途ご報告するとして、今回は代車のネタです。

さあ、今回の代車はこちら!!
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4歳長男「あ、ルノーだ!お父さん、ルノーでしょ!?」

惜しいけどちゃうわ。

今回の代車は、シトロエンC4ピカソBlueHDi!!なんと今年2月に登録されたばかりで走行距離100km未満のバリバリの新車です。傷つけないようにしなきゃ・・・

今回お借りしたのは、C4ピカソの「SHINE BlueHDi」というグレードです。公式サイトでは「※2017年春発売予定」となっています。

フロントマスクはフェイスリフトされて、7人乗りの「グランドC4ピカソ」と共通の顔になりました。FL後はちょっと鯉みたいな顔つきですね。FL前の顔の方がスポーティでかっこいいとは思いますが、FL後もこれはこれでいいのかと。

スリーサイズは全長4,440mm、全幅1,825mm、全高1,630mm。背が高く赤い膨張色であるからか、サイズよりも大きく見えますね。曲線が多用されて可愛げのあるボディラインと、どっしりとした存在感を併せ持ったプロポーションです。

ライトは上段のLEDがスモールライトとウインカー、中段がヘッドライト、下段がフォグランプとなります。上段は白いスモールの電球とオレンジ色のウインカーの電球が交互に配置されているんですね。

内装はさすがシトロエン。デザインについてはもうまったく文句のつけようがありません。シフトレバーはステアリングコラムからチョロっと生えていて、パーキングブレーキも電気式ですので、ウォークスルーが可能になっています。センターコンソールを取り外せば、小物置き場と引き換えに後席へウォークスルーすることもできます。
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なお、2列目は三席独立仕様になっていて、三席ともISOFIXアンカーが装備されています。ジュニアシートを3台装着しましたが、全く問題ありません。わが308SWよりも横幅に余裕がありますね。
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荷室はこんな感じです。4人家族程度の荷物であれば余裕で積みこめるでしょう。ただし、開口部には若干の段差があります。
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お、これは私の大好きな「トランクルームランプ兼懐中電灯」ではないですか!!私の308SWではマイナーチェンジで落とされてしまったアイテムです。
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そしてハンズフリーテールゲート。まあ、便利っちゃあ便利ですが、初期設定ではルーフより50cmほど上方に開きますので、屋根の下で開ける時は本当に要注意です。
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BlueHDiは少しブルーだった


車両は「BlueHDi」と呼ばれる4気筒2.0リッターのディーゼルエンジンです。最高出力は150ps、最大トルクは370Nmで、トランスミッションはおなじみ6速トルコンATの「EAT6」です。

スタートボタンを押すと「ガルルルルル」と、前方からディーゼルとはっきりわかるエンジン音が響きます。エンジン音の遮音にあまり気遣いされている車ではなさそうです。

双子男児「あ、トラックみたいな音だ!」「トラックだ!!」

あ、はい・・・

トラックと言われようがバスと言われようが構いません。BlueHDiの走りを見せてやろうではないか。おもむろにアクセルを踏み込めば、16.7の高圧縮比が生み出す分厚い低速トルクに、背中が押し付けられるような加速!!

と思いきや、そうでもないですね。確かに低回転からのトルク感はありますが「分厚い」というほどでもないです。C4ピカソという車両の性格と、車重が1,590kgということも関係しているのかもしれません。なお、これはガソリン車より130kg増しの重量です。

もっとも、アクセルを強く踏み込めば交差点から誰よりも速く駆け出すことは可能ですので、絶対的な加速性能はそれほど低くはないかと思います。

ただし、エンジンのレスポンスが緩慢なことに加えて、スロットルを開けた瞬間に「ガラガラガラ」というディーゼル特有の唸り音がそれなりの音量で聞こえます。正直言って、右足が踏んではいけないものを踏んでいるような気がしてなりません。

なお、キャビン自体の遮音性は非常に高く、幹線道路の交差点でアイドリングストップすると静寂の世界に包まれますが、再びエンジンがかかると現実に引き戻されます。

4歳長男「ほらね、ママ!トラックみたいな音でしょ!!」
長男「トラックみたいだよね。」
次男「うん。トラックみたいだね。」

うーむ、否定はできない。

私は同じC4ピカソのガソリン車には乗ったことはありませんが、わが308SWと基本的には同じエンジンです。これはどうもパワートレーンだけで選ぶなら、ガソリンの方に分がありそうです。しかし、実際に自分がどちらを買うかとなるとかなり悩ましいのです。実に悩ましい。これは後述します。

ゆったり、たっぷり、の〜んびり。


ステアリングは軽く、街中では非常に運転しやすいですね。T7系308の電動油圧式のような豊かなフィールはありませんが、これも時代の流れですね。時代に取り残されないように受け入れるしかありません。

ただ、中立付近が妙に人工的なフィールなのが気になりました。特に緩いコーナーの出口などで、ステアリングホイールが微舵角から自然にセンターに戻るような場面では、いかにも機械が介入しているような印象を受けました。

乗り心地は大変穏やかでゆったりしています。今回、一般道から首都高や東北道まで150kmほど乗りましたが、乗車中は一度も「ガツン」とか「バシン」といった突き上げは感じませんでした。サスペンションがたっぷりストロークして、上屋の揺れもよく抑えられていると思います。ド新車でこれはすごい。走行距離を重ねると一体どんな乗り心地になるのか、熟成が楽しみです。

高速道路に乗っても穏やかでゆったりとした乗り心地は変わりません。高速コーナーではそれなりにロールするし、前輪の接地感や方向感は低めなので、攻めるような走行スタイルは不向きです。ステアリングが軽いしつけというのもあるのですが、特に、コーナーからの脱出時にステアリングの舵角とボディーのロール角をキレイに収束させるのが難しいと感じました。外輪に荷重を感じるようなコーナリングを楽しむというよりは、ゆったりとクルージングするのが向いていると言えるでしょう。

それでも速度計に目をやると気づけば「かなりの」スピードになっていますから、制限速度+αの速度域であればまったく何の問題もありません。
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停止機能付きACCの実力は侮れない


C4ピカソSHINEには、これでもかというほどの安全装備が満載されています。

・アクティブクルーズコントロール(ブレーキサポート付)
・ディスタンスアラート
・アクティブセーフティブレーキ
・スピードリミットインフォメーション
・ドライバーアテンションアラート
・レーンデパーチャーウォーニング
・アクティブブラインドスポットモニター
・パークアシスト
・360°ビジョン
・ヒルスタートアシスタンス

私が特に注目した機能は「アクティブクルーズコントロール(ACC)」。実は私、この2017年において、クルーズコントロールの類はほぼ初体験です。しかもC4ピカソに装備されているのは、ただ速度を維持するだけの旧世代のクルコンではなく、レーダーで前車との車間を自動的に調節する追従式。

うおーっ、これは楽しみですね!!

ディーラー氏「クルコン付いてますが、決して過信はしないでくださいね。」

わ、分かっていますよ。こう見えても、フランス車歴はそこそこ長いですからね・・・

ともかく、さっそくACCの実力を恐る恐る試してみましょう!!

C4ピカソのACCの動作範囲は時速30kmから180kmまでです。ステアリング左上のスイッチを「CRUISE」に切り替えて「+」ボタンを押すと、現在走行中の速度がクルーズ速度として設定されます。さらに+−ボタンで設定速度を変更することができます。
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前方に車がいなければ、アクセルペダルを踏まなくても設定速度まで勝手にぐんぐん加速していきます。加速感はなかなか元気ですね。

もちろん自動運転車ではありませんので、赤信号だろうと急カーブだろうと、前車がいない限り減速せずに突っ込んでいきます。また、路側帯を走る自転車も検知しなければ、隣の車線で右ウインカーを出して発車しようとしている路線バスも基本的には検知しません。

ACCの作動中であっても、前方を注視し、ステアリングを保持し、右足をいつでも反応できるようにしておくのは普通の運転の時と全く同じです。

前車の背後に着くと、前車の速度に合わせて自動的に車間距離を保持します。パノラミックスクリーンにはレーダーセンサーの状況を表示させることができます。車間距離はハンドル左下のスイッチで「長・標準・短」の3段階を切り替えることができます。

下の画像はACC動作中のスクリーンです。右側の大きい数字が現在の速度、右下の小さい数字がACCで設定した最高速度(緑でオン)が表示されています。中央には白い自車と前方車両を認識中であることが示され、両車の間に白い横線が3本入っていて、設定車間距離が「長」だとわかります。なお、両側の緑の縦線はレーンキープアシストですね。これは後述します。
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「ドライビング・アシスタン ス」と、変なところで改行されていますね。なぜ1行に収めなかったのでしょうか。どういうわけかカタログでは1行で表示されているのですが、本当にどういうわけなのでしょう。もちろん走行にはまったく支障はありません。

ACCを続けます。前車が車線変更していなくなると、その前の車の背後まで自動的に加速し、自車と前車の間に隣の車線から割り込まれれば、減速して車間を調整します。高速道路での車間距離の保持、減速時の追従は、明らかに自分の「脳と眼と足」よりも素早く反応します。なかなか優秀ですね。

さらに、C4ピカソSHINE BlueHDiのACCには、ブレーキサポート機能がついています。実は、C4ピカソSHINEのガソリン車とディーゼル車のカタログ上の装備の唯一の違いは、このACCなんです。ガソリン車はアクセルとエンジンブレーキのみを使用しますが、ディーゼル車のみ「ブレーキサポート付」なのです。なぜかはわかりませんが、本国でもそうなっているんですよね。

さてこのブレーキサポート、自動停止までできるという触れ込みですが、本当なんでしょうか。恐る恐る試してみましょう!!

ACC作動で前車を追従している時に、前車が赤信号で減速します。すると自車も自動的に減速します。ここまでは体験済み。前車のブレーキランプが点いて目の前に迫ってきます。私はブレーキペダルに右足を乗せ、いざという時はいつでも踏めるよう身構えます。

おおっ、けっこう車間が詰まるっ・・・自分のブレーキのタイミングより全然遅いっ!

ブレーキ効いてる・・・減速・・・踏んでない踏んでない・・・

と、停まった・・・

いやー、停まりましたね。すごい。ブレーキングのマナーも決して強すぎることもなく、適度な効き具合だと思います。渋滞のノロノロ運転もお手の物ですね。なお、停止からの発進は自動ではありませんので、アクセルを踏んで30kmまで加速してから再びACCをオンにする必要があります。

このACC、今回は一般道から首都高、東北道まで試しましたが、非常にいいものですね。流れのよい道路で巡航する時にアクセルペダルを踏み続けていなくてよいということが、どれだけ楽チンで疲労の軽減につながるのか、身を持って体験することができました。

そして、あくまで前車の走行スタイルにもよりますが、ACCは無駄にアクセルをふかしたりブレーキを踏んだりすることもありませんので、燃費にも貢献してくれそうです。これは使わない手はありませんね。

さらにレーンキープアシスト。車両が両側の車線を認識すると「ドライビング・アシスタン ス」に緑色の線が表示されます。そしてウインカーを出さずに車線をまたぎそうになると線が黄色に変わります。さらに車線を踏みそうになると、システムがステアリングに介入して反対方向に振られます。

すべての車線を認識できるわけではありませんが、これはこれで有用かと。介入の力はそれほど強くなく、小さな轍を踏んだかな?という感じですが、画面がチカチカするだけで警告音は出ないため、同乗者にバレることはあまりないでしょう。

運転支援システムは運転の楽しさを奪うか?


このシトロエンC4ピカソ、上記でご紹介した機能の他にも、速度制限認識やブラインドスポットモニタリングなど至れり尽くせりです。いやー、フランス車といえば「他国の自動車では当たり前の装備がついていない」「ATのギアが他国の自動車より2〜3段少ない」のが当たり前でしたが、時代は変わりましたね。

えっ、あまりに機械まかせでは運転の楽しみが削がれる?

それはそうかもしれません。実際、いったんACCで交通の流れに乗ってしまうと、自分の車線がちょっとゆっくりになっても、前の車を追い越そうという気がなくなってくるんですよね。流れに身を任せてそのまま着いて行けばいいじゃ〜ん、みたいな。

ゆったりとした乗り味のシトロエンのディーゼル車でACCに身を委ねてのどかなクルージング。機械に骨抜きにされちまうのも悪くないなあ。この車に乗っているとそんな思いに駆られることもあります。

ちょうど、かのジェレミークラークソン氏も同じようなことを述べていました。最新の安全デバイスをフル装備したBMW 530dの試乗記事ですが、「経済性、パワーと洗練性、快適で素晴らしいハンドリング、立て付けもよく実用的」な530dは、電子制御の安全装置などない方がよほど楽しめるのに、それでもこのような車に乗る意味はあるのだろうか、と自問しています。
子供の命を救えるかもしれないシステムの機能をオフにすることは道徳に反する行為だろうか?確かにオンのままの方がいいだろう。いずれにせよ、時速250kmで運転を楽しめるような車がなぜ必要なのだろうか?(is it morally reckless to turn off all the systems that could save a child’s life? Surely, you should leave them on. In which case, why would you need a car that handles so sweetly and can do 155mph?.)

このような自動車、つまり車線変更の前にウインカーを強制し、制限速度の遵守を強制し、前車を煽ることのないような自動車をより多くの人が買うようになれば、交通事故の犠牲者は少なくなるだろう。(if more people buy a car like this — a car that forces you to indicate before moving, and obey the speed limits and not tailgate; well, that has to mean fewer fatalities.)

これは他人の利益のために金を払って買うということであり、それは今までにはまったく考えられなかったことなのだ。(it’s something you buy for the benefit of other people. That’s an idea that’s never really been tried before.)

THE CLARKSON REVIEW: 2017 BMW 5-SERIES
- The Sunday Times, Driving 19 April 2017 By Jeremy Clarkson -


そうなんですよね。

安全支援システムが、昨今世間を賑わせている高齢運転者による自動車事故を減らすために重要な対策の一つである以上、自分が高齢者でなくともそれを使い、普及の小さな後押しとすることもまた、社会的責任の一環なのかもしれません。それによって、運転の楽しさを機械に奪われることになろうとしても。

そうはいっても、最新のフランス車メーカー製ACCといえども、まだまだとても「機械任せ」とはいかないのが現実です。ACCを活用して安全性を高めるには、細心の注意を払いながらこの機械を使いこなさなければなりません。

ACCの機能や作動条件やクセをきちんと理解し、状況に応じて適切に対応することができなければ、「安全装備を過信したがための事故」につながる可能性もあります。

ということは、現時点のACCなどの安全システムは、あくまでもステアリングやアクセルやブレーキなどの運転インターフェースの延長であって、そこにACCの操作ボタンが追加されただけということなのかなと。操縦する要素が一つ増えただけと考えることができるのかと思います。

人間がコントロールしなければいけない以上、コントロールする楽しさもなくならない、ということですね。レベル5の完全自動運転になるとまた話は変わると思いますが。

試乗を終えて


さて、楽しい試乗もあっという間に終わり、車を返却する時となりました。最新の「ファミリークルーザー」C4ピカソから、わが2012年式プジョー308SWに乗り換えると、走り出した瞬間に、何かひと周り細い乗り物に乗っている気がします。

旧世代プラットフォームのプジョーのステアリングは激重で、低速での足回りのバタつき感は否定できません。なんというか、絶えずお尻に細かな振動を感じます。これでもだいぶしなやかになってきたんですけどね。やはりプラットフォームの進歩を見せつけられる瞬間です。長時間運転でより疲れないのは、明らかにC4ピカソであることは間違いありません。

また、C4ピカソについていたACCや自動ブレーキ、死角検知などの運転支援デバイスは、わが308SWにはせいぜいバックソナーくらいしかありませんので、やはりACCなど一度使ってしまうと、「全手動運転」は少々辛いものがあります。

一方でC4ピカソになくて308SWにあるものは、濃密な操縦感覚と運転体験ですね。車との一体感ということであれば308SWに分があると思います。

それでは、自分がいま車を買い替えるとしたら、C4ピカソSHINEはどうでしょうか。私の家族構成では7人乗りの「グランド」になることは言うまでもありませんが、いずれにせよパワートレーンが悩ましいですね。ディーゼルはイマイチ私の好みに合いませんが、ガソリン車だとACCにブレーキ/停止機能がつきません。停止機能付きACCを体験してしまうと、それがないのはちょっと考えにくいですね。

じゃあ、仮にガソリン車にブレーキサポート付きACCが付いたら、買いか?

うーん、自分としては、やはりもう少し走りに振った乗り味がいいですねえ。そういう意味では、今年中にデビューするとされるプジョー5008がどのような走りを見せるのか、非常に楽しみであります。試乗車が用意できましたら即座に駆けつけますので、どうぞよろしくお願いいたします。

ちょ、インフォテ・・・


文字化けしてるんすけど・・・
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前車を認識してるみたいけど、お前には一体何が見えてるんだ・・・?
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今回は、以上で〜す。