みなさまこんにちは。
これも傍目には問題なさそうに見えますが、狭くてシートベルトの装着はかなりやりにくいですね。また、後部座席のシートバックが寝かされているため、子どもたちからは「なんか後ろに傾いてる」と指摘されてしまいます。
いやー、BMWの哲学に触れた、いい経験をさせていただきました。それではまた!
さて、今回は代車のお話です。いやー、実はいろいろありましてわが愛車プジョー308SWは1週間ほど入院しておりまして、代車を借りておりました。その代車がこちら。
BMW 318iツーリングです。2世代前のE46というやつですね。初年度登録は平成15年(2003年)なのでもう15年前。走行距離は8万5千キロほどで、赤いボディはさすがに少し退色しています。
ちょっとどころかかなり古い車ではあるのですが、この車を1週間ほどお借りして、なかなか興味深い経験ができましたので、詳しく見ていきたいと思います。
さて、この車のパワートレインは143馬力の2.0リットル直列4気筒NAエンジンで、トランスミッションは5速トルコンAT。車検証によると、サイズは全長4,480mm x 1,740mm x 1,420mm 車重は1,430kgです。1,740mmというのは、なんと2セグメント下のプジョー208と同じ幅なんです。やはり2世代前ともなると非常にコンパクトですね。
グレードはMスポーツパッケージで、ステアリングやサイドシルにMマークがあしらわれ、大径ホイールが装着されています。タイヤサイズもフロントが225/45R17に対し、リアは245/40R17という、前後別サイズ。
今回、BMWのワゴンを借りるとあって、愛車の入庫に心を痛めつつも、少しワクワクしてしまいました。というのも、次期愛車には5人乗りのステーションワゴンがベストなのではないかと考えているからです。
現愛車は3列シート7人乗りのプジョー308SW(T7)ですが、これは子どもが3人になったために選んだ車です。当初は3列目にお婆ちゃんや身内を乗せることもよくありましたが、子どもが成長するにつれてその機会もほとんどなくなりました。そのため、もう5人乗りでもいいんじゃないかと。
しかし、5人家族の荷物はセダンやハッチバックでは積めないし、背が高く重いMPVやSUVは運転が楽しめない。それならばやはりステーションワゴンだろうと。
ということで、最近はワゴンばかりに目が行っていた矢先に、どういう巡り合わせか代車がBMWのワゴンだったのです。
なお、古い代車ですので、車両の整備歴など詳しいことはまったくわかりません。足回り等が純正品なのか、基幹部品の交換時期などもまったく不明という前提ですのであしからず。
キーを捻ってエンジンを掛けると、ドルンッ、という鋭く低い始動音に続いて野太い排気音が響きます。おおっ、さすがBMWのMスポは15年選手でもこの意識の高さ。気怠くのっそりと、時に気まぐれなプジョーのエンジンとは次元が違います。
シフトレバーをDレンジに入れてオルガン式のアクセルペダルに足をかけると、軽い踏力でも力強く加速していきます。アクセルペダルを少し強く踏み込めば、あっという間に他車はバックミラーの遥か後方に。新車時で143馬力という現代の水準では非力な数字ながら、胸のすくような加速が楽しめます。
そして、ハンドリングは圧巻の一言。舵を当てると瞬時に前輪が向きを変え、戻せば切り舵と全く同じ感触で舵が戻る。ステアリングホイールと前輪の間に介在して機械的なロスを生んでいるはずのタイロッドやラックなどまるで存在しないかのように、両手の動きと前輪の動きが完全に呼応した極めて自然で正確なハンドリングです。そのブレなく、骨太な動作はとても新車登録から15年経過しているとは思えません。
プジョー308T7の電動油圧パワステのしっとりとした滑らかなフィーリングも好きですが、BMW E46(おそらく油圧)のドッシリカッチリとした緻密で正確なステアフィールにはたまげました。
そして、乗り心地も15年落ちとは思えないほど滑らか。足の動きは剛性感が高く、荒れた舗装を乗り越えてもボディはビクともしません。アクセルを抜いてコースティングすると、NVHがしっかり遮断されながら路面とのコンタクト感はまったく失われない。ハリがあるのにしなやかな乗り心地に心打たれます。
これは凄くいい車なのかもしれない・・・
真っ赤なE46ツーリングのアクセルを踏み込んで軽やかに加速し、コーナー手前で減速してステアリングを切り込む。ボディは最小限のロールで路面に貼り付いたように向きを変え、エイペックスを越えて鞭を入れれば、ボディの揺り戻しに気を使う必要も一切なく、きれいに弧を解消しながらコーナーを抜け、再び次のコーナーへと駆け出す。
このクルマにかかれば、交通量の多い首都高速ですら、埼玉の片田舎の片側1車線の県道ですら、ショッピングモールに向かう何気ない道のりですら、移動を極上のエンターテイメントに昇華させることができます。
E46ツーリングを運転しながら「ああ、これはいいなあ・・・これが駆け抜ける喜びってやつなのね」と何度も頷かされました。
BMW E46 318iツーリング。この車には「BMWはこうあるべき」という確固たる哲学があり、全てのパーツはその一貫した哲学に忠実に従って動くように設計されているように感じます。その誉れ高き哲学は運転者の五感に憑依して自信に変わり、その結果、安心して飛ばせるようになるということなのではないかと思うのです。
乗り出しから15年経過して、内装も外装もかなりくたびれてはいますが、自動車として最も大切な、走る、曲がる、止まるの基本性能についてはまったく色褪せていないと感じられるのです。はっきり言ってこれには感服いたしました。「駆け抜ける喜び」は決して単なるマーケティングスローガンだけではないのでした。
さて、いいこと尽くめに思えるE46ツーリングですが、いくつか欠点もあります。
まず、太いタイヤのためか、時速40〜50kmの速度で直進していると、少しハンドルを取られることがあります。あまり気にはなりませんが。
また、首都高の橋梁区間を時速80〜90kmで走ると、橋脚の目地段差では少しバシッという衝撃が走ります。これも気になるほどではありません。
気になるのは直線ですね。ストレートはBMWの性に合わないのか、はっきり言ってあまりまっすぐ走りません。時速100km付近では常に微舵の修正が必要です。
そして、高速コーナーではそのクイックなハンドリングにシビアさを感じます。集中してステアリングを操っていないと進路を乱されそうになるのです。首都高C2山手トンネルの追越車線を駆け抜けていると、少し疲れますね。ツーリングという車名ではありますが、この車で長距離ドライブはちょっと厳しいかもしれません。
そして、ここが私にとって最も重要なことなのですが、いかんせんBMW3シリーズは5人家族には狭すぎます。我が家は小さい子供が3人いるので、彼らをジュニアシートに乗せて安全に運べなければなりません。
わが愛車プジョー308SW(先代T7)の後席はこうなっています。少々キツいですが2列目に3台のジュニアシートが収まっています。
それでは、BMWの後部座席にジュニアシートを2台置いてみます。
た、試しにトライしてみましょう。ゴクリ・・・
いやいやいや、これは無理。狭いどころかお尻が2台のジュニアシートのひじ掛けの上に乗っている状態です。まったく話になりません。
E46ツーリングは後部座席のサイドサポートの張り出しが大きいため、ジュニアシートをセットするとかなり内側に収まってしまうんですね。子どもを乗せるという観点では無駄の多い構造です。
そして、仮に後席中央に大人が座れたとしても、中央はクッションがまったくないので、長時間乗車は厳しいでしょう。
ならば、子どもに中央に座ってもらうのはどうでしょう。板のように硬い中央席でもジュニアシートに座れば気にならないはずてす。
ただし、ジュニアシートを2台隣り合わせに置くことはできないので、不本意ながら1台はブースタークッションにします。なぜブースターが不本意なのかは当ブログの過去記事をご参照ください(5歳からのジュニアシートについて考える。)
えっ、なにこれ。
なんと、中央にジュニアシートを置くと窓側のブースタークッションはまっすぐ置くことができません。ここに子どもを乗せてシートベルトを締めるのはちょっと無理そうです。
では中央にブースタークッションを置けばなんとか・・・
これではブースタークッションが左窓側にはみ出しているため、大人は座りにくいし、シートベルトを締めるのがかなり大変そうです。
うーむ。考えうる限りあらゆるパターンを試しましたが、BMW E46ツーリングでは、3人の子どもを安全に乗せることは不可能です。仕方がないので、大人2名が前席、小1長女には2台のジュニアシートの間に挟まってもらいましょう。
これも傍目には問題なさそうに見えますが、狭くてシートベルトの装着はかなりやりにくいですね。また、後部座席のシートバックが寝かされているため、子どもたちからは「なんか後ろに傾いてる」と指摘されてしまいます。
そして荷室。E46ツーリングのラゲッジスペースは明らかに小さいですね。容量は435リットルで、現行プジョー308ハッチバックの470リットルに及ばない数値です。この車で家族5人で旅行に行くのはちょっと厳しいかもしれません。
なお、現行BMW 3シリーズツーリング(F31)のラゲッジスペースは1割ほど拡大して490リットル。しかし、現行プジョー308SWは610リットルですから、メーカーによる測定値の差を考えても、フランス車の実用性の高さが光ります。
最後に、家族にE46ツーリングの感想を聞いてみました。
僕「みんな。初のBMWはどうだった?」
嫁「いい。カッコいい。赤がいい。」
長男「速くて好き。」
次男「速くて好き。」
長女「狭い。狭過ぎる。」
ということで、2代前の3シリーズツーリング、面白いクルマではあるのですが、5人家族では厳しいですね。3人程度ならオススメです。
でも、これはあくまでも2世代前のE46です。現行モデルではどのように改善されているのか、非常に興味深いですね。
いやー、BMWの哲学に触れた、いい経験をさせていただきました。それではまた!
コメント
コメント一覧 (4)
BMWには乗ったことが無いので興味深く読ませていただきました。古い車にもかかわらず、素晴らしいハンドリング、そして高速走行では、神経を使うこと路面の継ぎ目にはきつめの反応があるなど、とても端的に評価されていて、良く分かりました。407とは対局の車なのかなと思い、407の癒し系もまた良いな~と改めて思い、壊れるまで乗りたいと再確認した次第です。また、ブログ拝見させていただきます。
このBMW、きちんと整備されていたらもっと素晴らしい車だったんだろうなと思います。またよろしくお願いします!
ウチは子供が1人なので、アウトドアからサーキット走行まで一台でこなしています。プジョーにも興味があるので興味深く読まさせて頂きました。ありがとうございました。
コメントありがとうございます。E46もおそらく部品供給など厳しくなってくる頃だと思いますが、油圧のステアフィールなんかはいまの電動と比べると代え難いんじゃないかと思います。BMWは気になる存在ですが、5人家族にはサイズが厳しいんですよね・・・