みなさまこんにちは。
2020年春の新型コロナウイルスのパンデミック開始から早1年が経過しました。2021年初頭のコロナ第3波に伴う日本政府の緊急事態宣言は3月下旬に解除されたものの、すでに都内では感染者数が増加に転じてリバウンドが始まっています。ワクチン接種も間に合わぬままに一気にオリンピックの盛り上げムードと共に第4波の感染急拡大に突き進んでしまうのではないかと思われる今日この頃です。
私は、幸い家族も身内も近い知り合いも含め、(私が知っている限りでは)感染者は出ていないのですが、区内の小中学校では毎日のように感染者情報が出ていて(一部の地区に偏在しているのか、区内で満遍なく発生しているのかは不明ですが)、家族の誰もがいつどこで感染して家族全員が隔離生活になってしまうか分かりません。
そんな戦時下のような状況であっても、仕事は変わりなく続いているし、子どもは成長して進級するし、家はあちこち痛んでいくしで、おそらく戦争中も程度の差はあれ、人々はそれぞれの日常を営み、その生活を支えたり潤いを与える産業は回っていたのだろうなあと思うのです。
■これがメルセデスのSUVの走りだ
ということで、新車がやってきて週末が楽しみで仕方なくなっているのが私の日常でありますので、これからしばらくは新愛車メルセデス・ベンツGLB 200dのレビューがこれでもかこれでもかと続く予定です。とはいえ私はこれまで3台のプジョーを所有してきて、GLBが初のドイツ車、初のメルセデスです。たまの試乗もフランス車が多かったので、アウディやBMWなどの他のドイツ車や国産車との違いはよく分かりません。あくまでもフランス車に長く乗っていたドライバーの視点になりますので「ああ、フランス車に長く乗っていた人の視点なんだなあ」と思っていただければ幸いです。
この記事の執筆時点で我がGLBの総走行距離は500km弱ですが、市街地から高速道路まで乗り回しておりますので、GLBやその他の3列7人乗りをご検討中の皆様のご参考になれば幸いです。
それでは、車のブログらしく、内外装のデザインやインフォテの使い勝手などはすっ飛ばして、「GLB、実際乗ったらどうなのか」から参りましょう。
■静粛性の高いディーゼルは、最後で最良?
メルセデス・ベンツGLB 200dに搭載されるエンジンは、OM654q型2.0ℓ直列4気筒直噴ディーゼルターボ。OM654は2016年発売のEクラスから搭載が始まりましたが、OM654qはその横置き版。OM654ファミリーは、AクラスからGLEまで幅広く搭載されていて、SクラスやGクラスに搭載される6気筒版のOM656も基本的には同じ構造なんだそうです。
GLBが2台も3台も買えるような価格の車と同じエンジンを積んでいるなんて、ちょっとお得に感じます。もっとも、同じ型番とはいえ、GLBの方は安い分いろいろと省かれているのかもしれませんが。
このOM654qディーゼルを搭載したGLB、アクセルを踏み込んで発進すると「ドルルン」と、低くこもった唸り音を上げます。聞こえるアイドリング音は確かにディーゼルですが、加速しても聞こえてくるのは「ガラガラ」といったディーゼル特有の乾いたノイズではなく、「ドロロロロロ」というような芯の詰まったウェットな音質です。
これがめっぽう静かなんですよ。窓を全開にして走ってもぜんぜんうるさく感じません。ディーゼル音であることは間違いありませんが、穏やかなアメリカンバイクとでもいうような、静かで落ち着いたエンジン音なのです。
数年前のPSAのディーゼルエンジンはアクセルを踏み込むのがためらわれるほど音量が大きかったのですが、このOM654エンジン、踏み込んで爽快とまでは言えないものの、躊躇なく踏めるのは好印象です。
パワーについては、150馬力・320Nmは市街地ではまったく不足はありません。私の車両は標準車の1,740kgからAMGラインパッケージとサンルーフで60kg増加の1,800kgなので、高速での追い越し加速ではもう少しパワーが欲しい感じです。
それでも総合的にはなかなかいいエンジンではないでしょうか。街中を流していると、重厚で滑らかな乗り心地と、ディーゼルなのに心地よささえ感じる(!)エンジン音。GLBの車格にはぴったりの組み合わせと感じます。
2019年には内燃機関エンジンの新規開発を停止したと報じられ、電動化を推し進めるメルセデスにとって、おそらく最後で最良のディーゼルエンジンとなるのかもしれません。
■トルコンATと変わらぬスムーズなDCT
GLB 200dのディーゼルに組み合わされるのが、8速DCT、デュアルクラッチトランスミッションです。DCTはダイレクトな変速が売りとされていますが、GLBのDCTは、よくも悪くもトルクコンバーターを使う一般的なステップATとほぼ変わりません。シフトをNからDやRに入れてもガチャリとも言わず、電光石火のように瞬時に変速するわけでもありません。
「DCTのギクシャク感」とはよく言われますし、Aクラスやガソリン仕様のGLB250のレビューでも「ギクシャクする」という評価がありますが、GLB200dはディーゼルエンジンとの相性がいいのか、400km程度走行した限りではギクシャクのギの字も感じません。走行中に意識すれば、エンジン音と一緒にトランスミッションのメカニカルノイズが聞こえるような気もしますが、その程度です。
トルコンATと大きな違いを感じる唯一の点は、低速で下り坂でエンジンブレーキがかかるような時です。トルコンATよりもかなり強めにエンジンブレーキがかかり、MT車のような「締結感」があります。それでも実際のMT車よりは数段マイルドですが、MT未経験の方には、これが「ギクシャク」と感じられるということなんでしょうか。
信頼性はどうなんでしょう。フォルクスワーゲンが2019年に17万台もの7速DSGをリコールしたことで日本では極めてイメージがよろしくないDCTですが、ここは故障しないことを祈るばかりです。
■分厚い乗り心地に満足のステアリングフィール
ステアリングはもちろんフル電動で、ステアリングアシストがオフでも機械的にセンターに寄せる仕草がありますが、それ以外は概ね自然なフィールです。
車庫入れの速度では片手でクルクルと回せるほど軽くなりますが、走り出せば適度な重さで、軽すぎると感じることはありません。速度に応じた反力の変化がリニアなので、最近のプジョーの電動パワーステアリングのように、ある速度域を境に突然重さが変わるということがないのです。
前車プジョー308SWのような電動油圧式のじっとりとした操舵感にはほど遠いですが、運転していると、ところどころハンドリングの心地よさを味わえるのです。これはなかなかいいですね。
■SUVらしからぬ、やはりSUVらしい走り
そして今回のレビューのハイライト。曰く付きのサスペンションです。何が曰くなのか「今来た」というはこちらをお読み下さい。
ということで、我がGLB 200d、半年前のオーダー時点では「スポーツコンフォートサスペンション」であるはずだったのが、あろうことか日本版カタログの誤表記により、通常の「コンフォートサスペンション」が装着されているのです。
昨年の試乗時には、200d標準仕様車で特に高速での揺すられ感が気になったのですが、納車後に高速道路を運転したところ、その印象は少し和らぎました。これが標準車の18インチ55扁平から19インチ50扁平へのインチアップによるものなのか、単に慣れたのかはわかりません。
首都高を進むGLBは、連続する橋脚の継ぎ目をペタンペタンとしなやかに乗り越え、振動を受けた後の揺り戻しもうまく抑えられているように感じます。もう少しフラットだったら最高なのかなとは思うものの、慣れてしまえば気にもならなくなるかもしれません。
普通車を見下ろすほど着座位置の高いSUVですが、背の高い車に特有の腰高感、特に路面のうねりを越えた時のボディの急な上下動はほとんど感じません。適度な速度で流している限りは、高速道路でも一般道と同様に落ち着いた心地よい乗り味です。
少し高めの速度でコーナーを曲がっても、車両は極めて安定しています。コーナー途中で橋脚の継ぎ目を超えても跳ねる印象はほとんどありません。旋回中にわずかに揺すられる印象がありますが、常識的な速度域であればまったく問題ありません。
それでは、もうちょっと突っ込んでみたらどうでしょう。
免許証を失いかねない速度でコーナーに向かうGLB。腰高感はなく、曲がれない予感はしない。そのままステアリングを切り込む。切り始めの前輪の応答はちょっとマイルドかな。ステアリング操作に一瞬遅れてボディロールがついてくる。ここは背の高さが隠せない。
首都高速の決して滑らかとは言えない路面のうねりを、車両の中心を軸とした小刻みな回転モーメントを感じながらも、それほど不安に感じさせることもなく向きを変えていく。
コーナー出口でもステアリングの戻しも不安なくストレートへ。背の高さは隠せないけれど、これはなかなか速いかもしれない。
私のGLBはAMGラインパッケージで、タイヤは235/50R19のピレリのP Zeroを履いています。乗り心地は、一般道では足回りはしなやかで、荒れた舗装でも不快な突き上げは全くありません。かといってボディがフワフワと揺すられることもなく、実に快適です。
また、1世代前のプラットフォームであった我が前愛車プジョー308SW(T7)や、現行のEMP2プラットフォームを採用するプジョー5008よりも、シャシーに厚みを感じます。この辺りはさすがプレミアムブランド。
ステアリングはもちろんフル電動で、ステアリングアシストがオフでも機械的にセンターに寄せる仕草がありますが、それ以外は概ね自然なフィールです。
車庫入れの速度では片手でクルクルと回せるほど軽くなりますが、走り出せば適度な重さで、軽すぎると感じることはありません。速度に応じた反力の変化がリニアなので、最近のプジョーの電動パワーステアリングのように、ある速度域を境に突然重さが変わるということがないのです。
前車プジョー308SWのような電動油圧式のじっとりとした操舵感にはほど遠いですが、運転していると、ところどころハンドリングの心地よさを味わえるのです。これはなかなかいいですね。
■SUVらしからぬ、やはりSUVらしい走り
そして今回のレビューのハイライト。曰く付きのサスペンションです。何が曰くなのか「今来た」というはこちらをお読み下さい。
昨年の試乗時には、200d標準仕様車で特に高速での揺すられ感が気になったのですが、納車後に高速道路を運転したところ、その印象は少し和らぎました。これが標準車の18インチ55扁平から19インチ50扁平へのインチアップによるものなのか、単に慣れたのかはわかりません。
首都高を進むGLBは、連続する橋脚の継ぎ目をペタンペタンとしなやかに乗り越え、振動を受けた後の揺り戻しもうまく抑えられているように感じます。もう少しフラットだったら最高なのかなとは思うものの、慣れてしまえば気にもならなくなるかもしれません。
普通車を見下ろすほど着座位置の高いSUVですが、背の高い車に特有の腰高感、特に路面のうねりを越えた時のボディの急な上下動はほとんど感じません。適度な速度で流している限りは、高速道路でも一般道と同様に落ち着いた心地よい乗り味です。
少し高めの速度でコーナーを曲がっても、車両は極めて安定しています。コーナー途中で橋脚の継ぎ目を超えても跳ねる印象はほとんどありません。旋回中にわずかに揺すられる印象がありますが、常識的な速度域であればまったく問題ありません。
それでは、もうちょっと突っ込んでみたらどうでしょう。
免許証を失いかねない速度でコーナーに向かうGLB。腰高感はなく、曲がれない予感はしない。そのままステアリングを切り込む。切り始めの前輪の応答はちょっとマイルドかな。ステアリング操作に一瞬遅れてボディロールがついてくる。ここは背の高さが隠せない。
首都高速の決して滑らかとは言えない路面のうねりを、車両の中心を軸とした小刻みな回転モーメントを感じながらも、それほど不安に感じさせることもなく向きを変えていく。
コーナー出口でもステアリングの戻しも不安なくストレートへ。背の高さは隠せないけれど、これはなかなか速いかもしれない。
しかし、常識的な速度に戻って一息つくと、車はこう語りかけてくるようです。「違う。そうではない」と。確かに、この車で高速コーナーをぐいぐいとやっても、爽快に駆け抜けたというよりは、無理やりねじ伏せたという感じで、あまり楽しくはないですね。
やはり重心が高いからなのか、これがメルセデスの味付けということなのか、タイヤはしっかりグリップしているものの、 4輪が路面を捉える感触が希薄なのです。過去に所有したプジョー各車で味わったような濃厚な操縦感覚は、残念ながらGLBにはありません。
要するに、攻めて楽しむ車ではないということですね。もっともメルセデスのAMG以外の通常モデルで「運転が楽しい」という評価はあまり聞いたことがありませんので、そもそも求めてはいけないということなのでしょう。
これが、あの幻のスポーツコンフォートサスペンションだったら……
という空想は、そもそも存在すらしないパーツなので意味をなさないのですが、ひょっとしたらもう少しフラットな乗り味になったのかもしれません。
あるいは、GLB250のスポーツサスペンションならどうでしょう。お金さえ払えば200dにも装着することは可能です。ただ、サスの全交換は高額ですし、現車の緩やかな振動がダンピングが強くなって小刻みになるだけかもしれませんし、日常域の乗り心地は確実に犠牲になるし、そこまでして脚を硬めたいかというと、ちょっとねえ。
それよりも、ストラットタワーバーでも入れて、ステアリングのセンター付近の挙動をもう少しはっきりさせた方が、安上がりで確実に楽しめるのかもしれません。家族に内緒で入れても絶対バレないし。
ということで、いろいろあったメルセデス・ベンツGLB 200dですが、乗り心地はよくエンジンも素晴らしくハンドリングも良好と、概ね満足のいく走りをみせてくれました。さあ、レビューはまだまだ続きます。
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